【’25ドラフト道産子有望株】⑩北海学園大の147キロ右腕・堀川怜央 プロ入りした幼なじみの背中を追う
北海学園大の堀川投手は現在では絶滅危惧種のワインドアップから147キロの速球を放つ=撮影・西川薫
全日本選手権2回戦の佛教大戦で2回0封
今秋のプロ野球ドラフト会議で指名が期待される選手を紹介する「’25ドラフト道産子有望株」。第10回は6月の全日本大学野球選手権で67年ぶりに8強入りした北海学園大・堀川怜央投手(4年、札幌第一)。全日本選手権2回戦の佛教大戦で、自己最速を更新する147キロをマークして2回無安打4奪三振で全国デビューを果たした。プロになった数多くの選手との出会いに「早く追いつき、追い越したい」と、自らもプロのマウンドを目指す。
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5日にプロ志望届を提出した。チームメートの159キロ右腕・工藤泰己(4年、北海)を筆頭に、スカウトが何度も北海学園大の注目の4人を視察に訪れている。6日以降に全日本大学野球連盟のHPに公示され、興味のある球団があれば身上調査書が届く。「育成の最後の最後(の指名)でも。彼ら4人のおかげで、球場に試合を見に来るスカウトの数は見たことないぐらい、いましたし、グラウンドにも冬の室内練習にもスカウトが来たりしていました」。後悔だけはしたくない。可能性が低いのは承知の上だ。どこかの球団の目に留まってくれていることを願っている。

いまや少数派 ワインドアップ一筋
183センチ、91キロ。現代では希少種と言われるワインドアップは、マウンド上の堀川を一際大きく映しだし、打者へ威圧感を与える。元西武の松坂大輔や元ソフトバンクの斉藤和巳、さらに駒大苫小牧高時代の田中将大といった、時代を彩った大投手の投球フォームに憧れ、野球を始めた頃からワインドアップ一筋だ。「フォームを意識する中で、リズムを大事にしている。ずっとやってきたのでしっくりきている。あとはやっぱり憧れの投手がやっていて、かっこ良かったから。ひとつのこだわりです」。
直球の質、制球力、緩急に加え丈夫な身体
各球団の首脳陣も視察した6月の神宮のマウンドで、最大限のアピールはできた。「持ち味は、直球でファウルや空振りが取れること。質にはずっとこだわってやってきた。真っすぐの質とコースの投げ分け、コントロールは大学に入ってからすごく成長した。あとは緩急を使ったピッチングも自分の持ち味で、肩、肘の故障も一度もなく来た。1年生の頃からずっと投げてましたけど、痛めたことはないので、体の強さは自分の長所かな」。まさに〝無事これ名馬〟だ。
堀川投手の投球フォーム
身近にプロ入りした選手が多数 一人はDeNAの若松
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堀川の野球人生は、いまもプロで戦う選手たちとの出会いの連続だった。札幌・北光小3年で野球を始めたころ、同じ社宅に住んでいたのが、当時6年生だった現DeNA・若松尚輝投手(25、札幌学院大出)だ。札幌中央中時代にプレーした硬式の札幌東リトルシニアの1学年後輩には、阪神・茨木秀俊投手(21、新潟・帝京長岡高)がいた。
札幌第一に進んだのは「若松さんが着ていたユニフォームで」
その頃、尊敬する若松は札幌第一では主に外野手としてプレー。堀川も「若松さんが着ていたユニフォームでプレーしたい」と、背中を追いかけた。若松は札幌学院大で本格的に投手に転向すると、独立リーグの高知でブレーク。「元々、高校生の頃から野球をやる以上はプロ野球選手を目指してはいたんですけど、ずっと近くでやっていた幼なじみというか、尊敬してる先輩がプロに行く、となった時に、その気持ちがより強くなりました」。プロという世界が、遠くの世界から現実的な目標に変わっていった。
北海の木村、東海大札幌高の門別「2人ともエグい」
札幌第一では1年秋に「9番・右翼」で出場。札幌支部初戦で、同学年の北海・木村大成投手(22、ソフトバンク)と対戦。「木村大成のスライダーを打席で見たときは『これが本物のスライダーか』と。自分の投げているスライダーはパチモンだなと感じました(笑)」。コロナ禍の2年時には、独自大会の南北海道大会優勝もベンチ外だったが、背番号10で迎えた3年春の札幌支部代表決定戦で、当時2年の東海大札幌高・門別啓人投手(21、阪神)と先発対決した。「木村を見ていたので(門別は)どんなもんかと。当時はまだ150キロとか投げてたわけじゃないと思うんですけど、ものすごい低めの伸びだった。ボールと思って見逃したらストライクをコールされた。木村も門別もタイプが違うけど、2人ともエグい。バッティングが好きだったので、あわよくば打ってやろうと思ってましたけど、どちらも打ってないですね(笑)」。後にともに高卒でプロ入り。一方堀川は、北海学園大で巻き返しの4年間をスタートした。
2020年秋の札幌支部予選で投球する札幌第一・堀川
プロ志望届を提出するところまでこれた
北海学園大では1年の春、札幌6大学野球リーグ第2戦で大学デビューし1勝。4年間では通算5勝をマークした。「プロ志望届を提出するまでこれたことが、うれしい。大学に最初入った時の目標は大卒で支配下で注目されて(プロ入りすること)が目標だったので、そこには届いてないですけど、最低限のところまでは見えた。同級生、特にドラフト候補と言われている投手たちが、人よりも練習してる姿を見て『負けたくない』という気持ちがあったので、自分も練習をたくさんした。そのおかげで最後良い形で終われたのかなと思いますし、4年間ずっと島崎監督にはベンチに入れていただいて、試合で使ってもらって、いろんな経験ができた。それを生かして上の世界で頑張っていきたい」。切磋琢磨した仲間と共に、運命のドラフト会議を迎える。
プロ志望届を提出した、北海学園大の堀川投手(左)と新谷捕手
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■プロフィール 堀川 怜央(ほりかわ・れお) 2004年1月3日、札幌市生まれ。183センチ、91キロ。JR北海道でプレーした父・誠さん(52)の影響を受け、札幌北光小3年のとき鉄東スワローズで野球を始める。札幌中央中では硬式の札幌東リトルシニアで、3年の春季全道で初優勝。全国から強豪が出場する林和男杯でも優勝。札幌第一では1年秋に9番・右翼でベンチ入り。2年秋から背番号10番を背負うと、3年夏は南北海道8強入りした。北海学園大では1年春に1勝。3年で2勝、4年でも2勝。全日本選手権では佛教大戦で2回無失点。家族は両親と姉。