清水優心 苦しみ続けるプロ11年目 支えになった「3つ上の先輩2人」
鎌ケ谷の室内練習所で打撃練習をする清水=撮影・近藤裕介
〝声〟がかからず2軍で57試合に出場
日本ハムの清水優心捕手(29)は、今季まだ一度も1軍に上がれていない。2軍では57試合に出場したが、打率.238と思うような結果は出なかった。
「技術、メンタルともに苦しいシーズンでした」。もがき続けた1年だった。
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悩み続けたシーズンも「やることだけはしっかり」
ただ、猛暑に見舞われた夏場だろうと、練習で手を抜いたことはない。2軍はすでに全日程を終えたが、今月1日も鎌ケ谷で全体練習後、1人黙々と動画を確認しながらバットを振り続けた。
「今年1年は、技術がずーっとぐちゃぐちゃしていて、一つにまとまらないで、前に進めなかった。ずっとすっきりしない感じ。キャッチャーのスローであったり、バッティングであったり、初めて、やってもやっても、ずっとうまくいかなかった。でも、やることだけはしっかりやろうと思って、ずっとやっていました」。モヤモヤした気持ちを抱えながらも、腐って投げ出すことなく、丁寧に野球と向き合ってきた。

やはり頼りになるあの苦労人
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苦しい時、支えになった存在がいる。鎌ケ谷にいても、態度で〝あるべき姿〟を示してくれた「3つ上の先輩2人」だ。
一人は、入団時からお世話になってきた選手会長の松本剛。「剛さんとは連絡を取ったりしています。剛さんが2軍から1軍に行く時に、『おまえも、腐らずやれよ』みたいな感じのことを言われて、その一言だけでも重たい。剛さんもしんどい思いをしてきているので、僕なりに、どういう思いで言ってくれているのか思うところはありました。僕の気持ちも分かっていて、そういう言葉をかけてくれたんだと思う」
7月、鎌ケ谷の室内練習場で汗を流す松本剛
前向きにさせてくれた「若さん」の言葉
もう一人は、今季限りで現役を引退する若林。「若さんには、ご飯にも連れて行ってもらって、その時に『おまえの姿は、俺らが見ている』という話をしてくれて。『我慢してやっていると思うから、おまえの気持ちは分かる』と。そういう言葉をいただけて、野球選手なので、もともと頑張るのは当たり前なんですけど、もっとやろうという気持ちになったので、そういうのはありがたかったです」
先輩たちのように
2人の姿を手本に、清水自身も若手に背中を見せようと意識してきた。
「本当に、若さんはずっとファームに長くいましたし、剛さんもこっち(2軍)に来ることもあったので、そういう人たちの準備であったり、行動であったり、そういう先輩方の姿を見て、自分もああならないといけないなと思いながら、見ていました。(年齢が)下の人たちは、そういう姿を見ているので、自分もやれることはやろうと思っていましたし、誰かは絶対に見ていると思って、プレーも練習もしていました。人一倍、状態が悪くても声を出すことだったり、そういうことはしようと思っていました」

若手の台頭に焦りも
高卒で入団し、11年目。気付けば、自分より若い世代が台頭していた。
「僕らの年齢、29(歳)とかの世代が、まだ25、6(歳)の人たちより、(チームを)引っ張っていかないといけないと思うんですけど、その年代が、こうやって2軍にいる。悔しい気持ちもありますし、僕らもやらないとな、という気持ちももちろんある中で、もどかしい気持ちでした」
厳しい世界なのは重々承知
当然、〝戦力外〟も頭をよぎる。
「今年、このままだと11年目で初めて1軍に行かないで終わる。もちろん、野球をやめなければいけなくなるという気持ちもあります。年齢が近い人たちがどんどん、やめていく中で、どれだけすごい選手でも、野球ができなくなる日が来るので、そういうのを目の当たりにすると、より危機感を持ちますし、そういうことも考えながらやっていました」と心境を打ち明けた。
気持ちを切り替えてCSに照準
もちろん、何かを諦めたわけではない。レギュラーシーズンは残り1試合となったが、2位でポストシーズン進出を決めており、活躍の場はまだある。昨季はクライマックス・シリーズ(CS)のファイナルステージ3戦目、1点を追う九回に代打で出場し、ソフトバンクのオスナから中前打を放った。
「自分は、自分のやるべきことをやるだけです」。いつ声がかかってもいいように、最大限の準備を整えておく。