大麻が21年ぶり南大会進出 九回に4点差を怒濤の連打で大逆転【南大会札幌】
劇的サヨナラ勝利に歓喜する大麻ナイン=撮影・西川薫
■全国高校野球選手権南北海道大会札幌支部予選(6月30日、札幌・モエレ沼公園ほか)
▽Iブロック代表決定戦 千歳5-6大麻
最後は途中降板したエースが決めた
3季連続で支部初戦敗退中だった大麻が、九回裏に4点差をひっくり返す劇的サヨナラ勝利で21年ぶり3度目の南北海道大会出場を手中に収めた。九回は下位打線から始まったが、4者連続の中前打など5安打で同点に追いつくと、最後は1死二、三塁から途中降板したエース・奈良蓮斗(3年)の左前打で終止符を打った。
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ピンチはチャンス 全校応援も力に
九回、大麻はスタンドの全校生徒が大声援を送った
絶体絶命の状況が一転、歓喜の大声援に包まれた。九回表に2点を失い4点差。絶望的な状況にも大麻ナインは誰一人、諦めていなかった。怒濤の攻撃に相手失策も誘発し、得点につなげた。サヨナラ打を放った奈良は「ちょっと難しいかなっていう雰囲気は流れていたんですけど、九回最初のバッターが出てくれて、そこで流れが変わって、しっかり自分も最後に打てて、うれしい気持ちでいっぱい」。最寄りの地下鉄駅からバス8台でピストン輸送して集結した780人の全校応援もボルテージは最高潮に達した。
最後の打席に立った奈良への伝令 山本監督「…グッときましたね」
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奈良は先発したが六回途中に3失点で降板。そこからは三塁の守備に就いていた。昨秋から指揮を執る山本雄介監督(39)は、「マウンドを降りる時は悔しい気持ちがあったと思う。本人も最後まで投げ抜きたいという気持ちを強く持っている選手。ただ、その悔しさを抑えて、ちゃんとサードの守備に専念するというところが彼の良いところ」。指揮官は最後の場面で打席の奈良に伝令を送った。「3年間を信じて振り抜いてこい」。奈良は見事に結果で応え、山本監督も「3年生が最後に決めてくれたので、グッときましたね」と声を詰まらせた。
大麻のエース奈良が九回1死二、三塁で左前にサヨナラ打を放つ
ノーシードから勝ち上がろう
春の初戦敗退後、「ノーシードから勝ち上がろう」とスローガンを掲げた。指揮官は「ノーシードから勝ち上がる生活、練習、練習試合、そこに全てをつぎ込もうという話をして戦ってきた。最後は執念の一球。クリーンヒットもいいけど、ボテボテでもいいし、間に落ちるヒットでもいいし、執念の一球を積み重ねる。積み重ねるのは一人だけど、それが9人で打線になって、その後ろには20人がいて。全校応援も後押ししてくれて、最後は本当に執念の一球が、九回に全部重なってくれた」。六回にも3連打で1得点するなど、ここ一番での集中打が最強の強みとなった。
高校同期の宮崎監督からエール
大麻の代表決定戦が始まる直前、Hブロックを制した札幌新川の宮崎純也監督(39)から「頑張れよ」とハッパをかけられた。2人は高校時代、立命館慶祥のチームメートで、2003年に初めて南大会に出場した時のメンバーだった。当時、山本監督は背番号15で三塁コーチャー。札幌新川の宮崎監督はエースで、夏の指揮を執るのは2人とも初めてだった。互いに準決勝で勝った後、「一緒に南大会に行きたいな」と誓い合い、しっかりと約束を果たした。
昨秋から指揮を執る大麻の山本監督(中央奥)も感極まる
最後まで諦めない野球をしたい
昨秋のドラフト会議で阪神に育成3位で入団した早川太貴投手(25)は同校OB。同じエースナンバーを受け継ぐ奈良は21年ぶりの大舞台に、「光栄です。去年の秋に負けたときから、ストレートをしっかり磨こうと。春にマックスで136キロを出せて、そのストレートを中心に変化球を使って相手を圧倒するようなピッチングをしていけたら。自分ともう一人の投手の菊池(朝陽)を筆頭に、しっかりと守備から流れをつくって粘り強い野球で最後まで諦めない野球をしていきたい」。甲子園まであと4勝。ノーシードからの下克上を成し遂げる。

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