金子千尋2軍投手コーチ 11年前の〝マエケン撃ち〟を振り返る「死んだふりをしたつもりはないんです」
交流戦の〝あの打席〟を語った金子千尋2軍投手コーチ
記憶に残る交流戦の名シーン
佳境を迎えているセ・パ交流戦。大きな楽しみの一つが、普段は見られないパ・リーグ投手の打席だ。日本ハムの金子千尋2軍投手コーチ(41)は、選手としてオリックスに所属し、沢村賞も獲得した2014年、交流戦で当時、広島にいた前田健太投手(37、現カブス傘下3Aアイオワ)から適時二塁打を放っている。
野球ファンの間で語り継がれる11年前の〝マエケン撃ち〟の舞台裏を、本人に振り返ってもらった。

ダメ元!?で立った打席
金子コーチは高校時代から、バッティングが好きだった。ただ、プロの投手と対戦するとなると、話が違う。
「高校時代、なんで打てていたかというと、(バットが)金属だったから。木だったら無理だし、痛いし、飛ばないし。プロ野球のピッチャーの球って速いし、変化するし、もう打てないもんだと思っていました。なので、打てなくても全く何も思わない」と、無欲で臨んだ前田との対戦だった。
2打席連続の見逃し三振から…
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快音を響かせたのは、七回2死二塁の3打席目。1、2打席目は、1球もスイングせず、どちらも3球で見逃し三振を喫していた。〝死んだふり作戦〟だったのか―。真相は違った。
「いやいや、死んだふりをしたつもりはないんですよ。打てる球が来たら打とうと思っていたんですけど、ただ僕にとっては打てる球が来なかっただけです」

インコース狙いが奏功
中越え適時二塁打と、会心の打球を飛ばした3打席目も、実は狙い通りではなかった。
「(二塁に)ランナーがいて、初球を振るつもりでいたんですよ。でもインコースの真っすぐが来て、これは無理だと思って(笑)。(1ストライクとなって)もう1球、(同じ球が)来るだろうなと思って、インコースの真っすぐを待って、そのタイミングでいったんです。でも、打ったら外だった(笑)。インコースの真っすぐを振ったつもりで打ったら、外だった。そしたら、たまたま当たった。もしそれが本当にインコースに来ていたら、絶対に打てていないです。なので運が良かったです」と懐かしそうに当時を思い返した。
後輩たちも参考にする!?打撃
17日の巨人戦に先発し、打席に立った達が〝マエケン撃ち〟の動画を見て参考にしていたように、金子コーチの打撃は後輩たちにも良く視聴されている。
「YouTubeとかでよく動画が出ていますもんね。メジャーリーガーになったマエケンから打てて良かったです」と、半分は照れながら、半分は誇らしそうに笑った。
17日の交流戦・巨人戦で打席に立った達
今季もバットで魅了する投手が現れるか―
今季はもう残り少なくなったが、交流戦は来季以降も続いていくだろう。金子コーチのように、ファンを驚かせるような打撃を見せてくれる投手が一人でも多く現れることを期待したい。
2021年6月3日の交流戦・広島戦、雨天中止となったため、記録に残らなかった金子の幻のタイムリー