伊藤大海 3敗目もバウアーと名勝負「野球人生においてすごく大事な1試合になった」
8回を完投して2失点に抑える力投を見せた伊藤=撮影・岩崎勝
■セ・パ交流戦1回戦 日本ハム1-2DeNA(6月6日、横浜スタジアム)
8回完投9安打2失点も7勝目ならず
日本ハムの伊藤大海投手(27)が今季10度目の先発マウンドに上がった。8回を完投して2失点に抑える力投を見せたものの、3敗目を喫した。
だが、待ち望んでいたDeNA・トレバー・バウアー投手(34)との投げ合いの中で得た数多くの経験を糧に、道産子エースはさらに進化する。
投げ合いに興奮 「すごく楽しかった」
伊藤8回113球、バウアー9回121球。継投策が主流となっている現代野球の中、横浜スタジアムで、先発完投型を標榜(ひょうぼう)する両投手の意地とプライドがぶつかり合った。
堂々のピッチングを披露しながらも、黒星を喫したことに伊藤は「負けて悔しいのは悔しいですけど」と口にする一方で、「本当にリスペクトするピッチャーの一人なので、すごく楽しかったというか。これからの自分の野球人生において、すごく大事な1試合になったと思います」と、すっきりとした表情で振り返った。

切望していた初激突が実現
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シーズン開幕以降、毎週火曜に先発してきたが、今回は間隔を空けて中9日で登板した。一方、中4日で回っているバウアーが1日の試合に先発したことで、この日の試合で激突する可能性が浮上した。
2日の練習時には「『中4で来てくれ、バウアーさん!』と。リスペクトしている選手なので、もしそういう機会があれば、すごく楽しみです」と、対決実現を熱望していた。念願かなった試合で、見る者を魅了する〝タイマン勝負〟を披露してみせた。

バウアー式を取り入れた遠投
ルーティンとなっている試合前の遠投も、バウアーを参考にして始めたものだ。
「僕はバウアーのYouTubeをずっと見ているので。遠投はある程度、強さがあったまま届くとか、きょうこのくらいの出力でこれくらい投げられているとか、確認もできる。あの距離でキャッチボールをして、あそこで終わって一気にブルペンに行く。100メートル近いところから、18.44メートルになった時の景色がめちゃくちゃ近く感じます」
DeNA先発のバウアー=撮影・小田岳史
打席で体感「ああいうボールを投げられるようになりたい」
映像を通して多くの学びを得てきたが、この日は打席に立って生きたボールを間近で体感した。
3打席3三振という結果に終わったものの、「すごかったですね。良い勉強になりました。カーブも打席で見ると、映像で見るほど(軌道に)山がないというか、ほぼスライダーに近いような感じで、すごく角度を感じた。ああいうボールを投げられるようになりたい」。この経験を糧に、自身の多彩な変化球をさらにレベルアップさせていく。
三回無死二塁、DeNA・バウアー(左)を相手に三振を喫した伊藤
終盤の気迫に脱帽 すべてを吸収し大エースへ
バウアーは六回、七回と、続けざまに制球を乱してピンチを招いた。七回の打席では、代打を送られることも予想されたが、そのまま続投。結局、最後まで投げ抜いた。
「中4なので、(続投は)どうかなとは思ったんですけど。ああいう気迫を持てるようなピッチャーに、自分もなりたいなと。あらためて彼のすごさに気付かされて、良い刺激をもらいました」。サイ・ヤング賞右腕とのマウンド上での共演を今後に生かさない手はない。