青木亮太が終了間際に芸術的FK弾! 「頭をよぎった…」苦い記憶乗り越えて
後半アディショナルタイム2分、MF青木がFKで勝ち越しゴールを決める=撮影・小田岳史
■J2第16節 札幌2-1富山(5月17日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
ファンタジスタの描く軌道は、息をのむほど美しかった。北海道コンサドーレ札幌は17日、ホームで富山と対戦し2―1で逆転勝利を収めた。先発出場したMF青木亮太(29)が、同点で迎えた後半アディショナルタイム2分に直接フリーキックを沈め、3試合ぶりの勝利を決定付けた。
高嶺から「蹴ってください」と言われて
ゆったりと1歩、2歩。短い助走から右足を振り抜くと、ゴールはきれいな弧を描いてゴール左上に吸い込まれた。勝ち点3を呼んだヒーローは「(田中)克が出ていたら蹴っていたと思う。あのときは自分が蹴ろうと思っていたし、高嶺から『蹴ってください』と言われて自信を持って蹴ることができました。毎回うまく蹴ることができるタイプではないので、きょうはたまたま上手くいきました」とドラマチックな一撃の余韻に浸った。
後半アディショナルタイム2分、MF青木(右)がFKで勝ち越しゴールを決める
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FKを蹴る直前に、一瞬だけ嫌な過去が頭をよぎった。J1残留を目指していた昨シーズン最終盤。湘南戦の後半アディショナルタイムに得た直接FKで、枠を外した苦い記憶が脳裏にちらついた。
ハーフタイムのロッカールームで激しく…
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「去年は降格争いをしている中、1ー1のロスタイムにチャンスが来て外してしまった。そこで決めていたら勝ち点を積み上げて、もしかしたら(J1に)残れていたかもしれない…。同じような位置、同じような状況だったので頭をよぎりましたけど、しっかり集中して蹴ることができた。良い形で決められて良かった」
白星への飢えが、闘争心をかき立てる。0―1で試合を折り返したこの日、選手たちはハーフタイムのロッカールームで意見を激しくぶつけ合った。普段は多くを語らない勝負師も感情を表に出して、厳しい言葉をチームメートに投げかけた。
後半アディショナルタイム2分、MF青木がFKで勝ち越しゴールを決め、ガッツポーズをみせる
もっと頭を動かしてほしい 次に何が起きるか予測しないと
「僕が言ったのは、初めてかもしれない。前半のふわっとした雰囲気が気になって。試合をやる中で走って戦うことはもちろん大事だと思っているけど、もっと頭を動かしてほしいという話をした。守備も攻撃も次に何が起きるか予測しないと、無駄に走らなければいけなくなる。後半はみんなの反応が良くなって、前半より良い動きになっていた」
走り、戦う札幌のサッカーに思考力が加われば、無類の強さを発揮できる。後半途中から5バックを敷いた相手を圧倒し、実力で成し遂げた逆転勝利には大きな価値がある。
試合に勝利し、笑顔のMF青木(左から2人目)ら札幌イレブン=撮影・北波智史
今季2度目の連勝を狙う次戦へ向け、青木は言う。「気持ちを切らず、きょうの後半のようなサッカーをやれたらいい。改善点はたくさんあるので、みんなで話し合いたい。自分はやれることをしっかりやって、みんなを引っ張りたいと思います」。逆襲のストーリーは、これからが本番だ。