球団史上初の2軍継投ノーノー 孫易磊が6回好投、最後は山本拓実が3人締め
チームメートとハイタッチする山本拓(左から2人目)=撮影・工藤友揮
■イースタン・リーグ7回戦 ヤクルト0-5日本ハム(5月5日、鎌ケ谷スタジアム)
日本ハムは先発の孫易磊投手(20)が、6回無安打、2四球に抑える好投で無失点に抑えると、2番手の山本晃大投手(26)、3番手のアニュラス・ザバラ投手(28)もパーフェクトリリーフ。最後は山本拓実投手(25)が九回を3人で片付けて、4投手による継投でのノーヒットノーランを達成した。イースタンリーグでの日本ハムのノーヒットノーランは、2003年4月30日西武戦の江尻慎太郎以来22年ぶり。継投での達成は球団史上初めての快挙となった。
3500人超の観衆が大喜び
ゴールデンウイーク期間中ということもあり、3500人を超える大観衆が詰めかけた鎌ケ谷スタジアム。好天にも恵まれ、ファンたちが歴史の目撃者となった。
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歴史の扉に手を掛ける快投を見せたのが、今季4度目の先発登板となった孫だった。「きょうは全部質が良かった」と語る150キロ前後の真っすぐを中心に、ヤクルト打線に付け入る隙を与えない。三回に先頭打者を四球で歩かせると、犠打で1死二塁の場面をつくられたが、後続を絶ってピンチ脱出。五回にも1死から四球を許したが、盗塁を試みた一走を進藤が刺した。台湾の至宝は女房役にも助けられながら、スコアボードに0を刻んだ。
先発の孫易磊が6回を無安打に抑える
自画自賛する六回の会心投球
そして「自分の中で一番良かった。一番球が速かったです」と振り返るのが、最後のイニングとなった六回の投球内容だ。力強いストレートで2者を外野フライに打ち取ると、最後の打者は変化球で空振り三振に斬って取った。この日4個目の奪三振で、73球の力投を締めくくった。
最後を締めたやまーんの心中は…
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最後、4番手としてアンカーを託されたのが山本拓。相当なプレッシャーを感じて九回のマウンドに上がったという。「野球界のあるあるに、言ってしまうと止まる、みたいなのがあって。完全投球していても『これ、完全試合だね』と言った瞬間にヒットを打たれたりとか。ブルペンでも、分かっているけど誰も言わない、みたいな雰囲気があった。僕が準備し始めたら、浦野コーチも堀さんも、チョクさん(石川直也)も、みんなニヤニヤしてこっちの方見てきて。いっそザバラ打たれてくれないかな、と思っていたんですけど(笑)」と、ジョークまじりにブルペンでの心境を口にした。一方で「1軍の方が絶対にプレッシャーがあるので。自分の中で、あえてちょっとプレッシャーをかけて行きました」と、1軍復帰を目指す上で、乗り越えるべき壁と捉えてマウンドに上がると、ヤクルト打線を3人でピシャリ。プレッシャーに打ち勝って、ノーノー継投を完成させた。
孫易磊(左)にウイニングボールを手渡す山本拓(中央)
支配下登録と1軍復帰、それぞれの目標
先発した孫が「(キャリアで)初めてのノーヒットノーランなので、すごく良い気持ちでした。ノーヒットノーランを目指して投げたわけではないですけど、中継ぎのピッチャーがしっかり守ってくれて、本当に感謝しています」とチームメートを称えれば、山本拓も「ファームではなかなかない、良いプレッシャーで投げられた。3人で抑えられたのは良かった」と、安堵の表情を浮かべた。支配下登録、1軍復帰。それぞれの目標を持つ4投手によって繰り広げられた快投劇で、チームの歴史に新たな1ページが加えられた。