22年北大会準V・旭川東の勝利の女神は、元ファイターズジュニアの野球女子
旭川東の勝利の女神・五日市マネジャー(中央手前)は、元ファイターズジュニアの野球女子=撮影・西川薫
五日市マネジャーが記録員としてベンチ入り
春季全道高校野球旭川支部の組み合わせ抽選会が1日、旭川市内で行われた。昨秋、支部準決勝で敗れた旭川東の初戦は11日の2回戦。富良野と留萌の勝者と対戦する。3年生の中でただ一人のマネジャー・五日市詩音さんは、2019年のファイターズジュニアメンバー。大会では記録員としてベンチ入りする。
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ノック時にはストップウオッチを片手に、各塁への送球時間をフィールド内の選手に知らせる元気な声がグラウンドにこだまする。また中学までの投手経験を生かして、走塁練習や、捕手の二塁送球練習の際は投手役も務める。ラストイヤーへ「みんな、辛いことから逃げなくなった。特に秋の大会が終わってから、キャプテンの声かけが影響しているのかな。もともと全然声が出るチームじゃなかったんですけど、今津主将を中心に前向きな声かけが増えた。チームの雰囲気が良くなって、一体感も出てきた」と、成長を感じている。

父と兄の影響で野球を始めFジュニアでは投手
父と兄の影響で旭川西御料地小2年で野球を始めると、6年時には男子に交ざって約1000人の応募の中からファイターズジュニアに投手として選出された。12球団ジュニアトーナメントでは、オリックスジュニア戦で2イニング登板。中学は父の仕事の関係で、札幌北辰中の軟式野球部に所属するかたわら、女子の軟式クラブチームの札幌シェールズ、JBC札幌でプレーし、全国大会にも出場した。
中2の冬、利き腕の右肩を痛め…
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ところが中学2年の冬、利き腕の右肩を痛めた。「そのまま無理やり中3になっても投げてたんですけど、肩に力入らなくなって『もうダメだな』って。あとファイジュニに選ばれて全国の女子選手とやった時に『ここで通用するのは難しいんじゃないか』と。センスがあるわけではなく、努力でカバーしてきたので、今後(選手を)やり続けるのは現実的ではない、勉強で進んだ方がいいのかな」と、プレーヤーとしての夢を諦め、地元の進学校で1年時からマネジャーを務める。「選手が悩んでいるところとか、陰で自主練しているところを見てきて、練習試合や大会で結果が出たり、努力が実った時は、すごく喜びがありますし、近くで見られてよかったと思います」。マネジャーの仕事にやりがいと喜びを感じている。
西中監督も絶賛「自分の野球経験を生かしている」
昨年は3年生マネジャーが3人いたが、今年は五日市さん1人。2年生以下5人のマネジャーの助けを借りながらチームをサポートする。OBの西中剛志監督(45)は「うちのマネジャーは代々よく動いてくれて、スコアも細かいし、アナウンスも上手。詩音は打球方向を見るのも野球をやっているから詳しい。今までマネジャーがやってきてくれたことプラス、自分の野球経験を生かしてチームに貢献してくれている点が、彼女しかできないことかな。責任感が強いし、ストイック。大変な部分はあったと思いますが、真面目さ、勤勉さでカバーしてくれた」と目を細める。今津良介主将(3年)は「3年生(マネジャー)が1人という状況で、すごく忙しいと思う。下の2人のマネジャーを引っ張るのにも、すごく手助けが必要だと思うんですけど、選手たちに気を使ってくれる。彼女がチームを支えてくれるので、自分たちがしっかり野球できている」と感謝する。

イチローさんに報告したい「今のチームなら狙える」
今春のセンバツ甲子園では、仲の良かったファイターズジュニアのメンバーが何人も甲子園でプレーした。次は自分たちの番だ。「1年秋にイチローさんが来てくださいましたが、去年は甲子園出場が叶わなかった。今のチームなら狙えると思いますし、自分も野球をやってきた身として伝えることは伝えつつ、マネジャーだからこそ見える部分もあると思う。今までは言うのを我慢してきたこともあったが、チームが良くなるためには、直さなくてはいけない部分がある。そこは気を使うことなく、しっかり向き合い、時にはぶつかって乗り越えながら、甲子園出場という目標を叶えたい」。フィールドでプレーすることはないが、チームの欠かせないピースとして、全力で選手を支える。