《ハム番24時》1月10日
宮西が主催する合同自主トレが公開され、今年も恒例のじゃんけん大会が行われた。挑戦者は昨年同様、堀、山本晃、ソフトバンクに移籍した長谷川の3人だ。まずは〝絶対的権力者〟とそれぞれが対戦し、堀、長谷川が勝利。2人はまるで1点リード、無死満塁のピンチをしのぎ切った時のような、渾身のガッツポーズで喜びを爆発させた。
それもそのはず。このじゃんけんは、負けるとランニングの距離が倍になる恐怖の勝負だった。ただ一人、餌食になったのは山本晃。宮西のグーに対してチョキを出し、がっくりと膝から崩れ落ちると、残る3人は大爆笑した。
これだけでは終わらない。指示を受けた山本晃と長谷川は報道陣の元に歩み寄り、「じゃんけん、お願いします」。この勝負には、グラウンド外を走る長距離ランニングのコースが委ねられていた。8人を相手に5勝以上で、比較的平坦で負担の少ないコース。逆に4敗を喫すると、険しい山道コースだ。鬼気迫る表情で手を繰り出した2人だったが、神様のいたずらか、まず長谷川が4連敗。続く山本晃も1勝4敗で、あえなく撃沈した。
神頼みは通じなかったのか―。山本晃は昨年も同様のじゃんけんで、驚異の11連敗を喫していた。「そんなもんなんですよね、僕。今年も弱いです。今年は初詣もめっちゃ行ったんですよ。伊勢神宮も行ったし、滋賀県の太郎坊宮という勝負の神様の神社にも行って、奈良県にある石上神宮というところにも行って。神頼み、しまくっていますね。でもじゃんけんは弱いと。じゃんけんは勝てなかったです」と、あきらめ顔を浮かべていた。
それでも、支配下昇格を期す左腕は「まだここで勝負運を使っちゃいけないので。ここは別に負けてもいいんです。神様も走らせてくれたんだと思います」と前向きだった。
今年は志願して、他の2人よりも早い1月3日から師匠の下で汗を流している。「僕は立場上、堀さんとか長谷川と、よーいどんでスタートしていたらキャンプ、乗り遅れるので。一緒の練習量では当然、だめになってくる。(宮西からは)『おまえは倍走れ』というふうに言われます。人の倍やらないとと。支配下の人だっていっぱい練習する。それに追い付くには、倍しないといけない」。嫌というほど走りのメニューを課せられても、「もう、(宮西からの)愛です」と、全てを受け入れていた。
心に湧き上がるのは感謝の思いだ。「腕の位置を下げたり、いろいろ試している中で、宮西さんに教えてもらえることが多い。僕ができていない部分を客観的に見て指導してくれている。なかなかないことで、貴重な経験だと思います。フォームだったり、変化球の使い方とか、技術の面でもしっかり吸収してキャンプに乗り込みたいと思います」。育成3年目の勝負の年。宮西からの愛のムチに耐えた山本晃の躍進に期待したい。