通算900試合登板にも意欲
日本ハムの宮西尚生投手(39)が10日、母校の兵庫・関西学院大で自主トレを公開し、プロ18年目の決意を表した。このオフも例年通り、志願してきた後輩たちを引き連れ、ひたすら走って追い込んでいる。2025年は前厄に当たるが、ひるまない。あと31試合で到達する通算900試合登板にも意欲を見せた。取材に応じた一問一答は以下の通り。
―2025年はいつから練習を
「年始は3日から」
―今年も走り込みが多め。体の状態は
「もうすでにピークです。この時期にしっかり追い込んでキャンプインする形がもう18回目なので、それに対して特別感はないですね」
―あらためて走り込みを多くする狙いは
「ランニングって、手を抜こうと思えばいくらでも抜けますし、その中で自分を乗り越えるという、どっちかというと、ぼくはメンタルとか根性論が強い、昔ながらの考えなので。シーズン中、苦しいとき、つらいとき、というのを乗り越えるため、自分で打破できるようにという狙いがランニングの量に表れているかなと思います」
―きょうは50メートルを繰り返し
「20本、100メートルは6本」
―走る量は毎日変えているのか
「4勤でやっているんですけど、まあ、徐々に落としていっているという4日間。ですけど、距離数的には上がっているという謎の感じですけど、まあまあしっかり走り込みはしてますし、させています」
―じゃんけんでコースを決めるなど遊び心が
「そうですね、合同自主トレをし始めてからは、じゃんけんという醍醐味(だいごみ)が全てだと思う。若いやつらは、そういう意味では勝てば楽ですし、負ければ地獄ですし、そういう遊び心っていうのは入れています。ぼくは遊び心ですけど、若いやつらが遊び心と思っているかどうかは分からないですけど」
―ブルペンで何を確認したか
「今年初めてのブルペンなので。今年は例年に比べて肩、肘とか投げることに関しては本当に順調に来られているので、きょうも一発目でしたけど、満足できるブルペンだったかなと思います」
―具体的にどこが良かったか
「キャッチボールしていても、球質というか体の動きであったり、肩の回り方の部分。ウエートでも追い込んでいるんですけど、しっかり動いているという部分で、バランス良く追い込めているのかなと思いますね」
―ブルペン入りの時期は早いか
「いや、例年通りですね、年が明けてからなので」
―後輩に伝えたいことは
「練習方法は人それぞれだと思いますし、正解も不正解もないと思うので。ただ、僕が大事にしているのは、自分でどれだけ追い込めるかというところ。それが全てというのは口酸っぱく(伝えている)。自主トレなので手を抜こうと思えば、楽をしようと思えばいくらでもできますし、でも長くやってきた先輩方を見ていても、長くやっている人ほど自分の追い込みをしっかりしていますし。追い込み方は人それぞれ違いますけど、自分の目的があったりとか、しっかり練習しているのが共通点だと思っている。聞いてもそうだって言うし、みんな。若いときってやっぱり誘惑に負けて楽しがちなので、強制的な感じで今はやらせていますけど、後々、僕とやっていなくても追い込める、そういうふうになったら卒業かなと思っています」
―卒業見込みは今のところどうか
「まだ全然、単位を取れていないですわ、あいつら。加藤(貴)とか鍵谷とかは自分でできるようになったから巣立っていきましたけど、まだここの3人はもっと追い込めると思うし、自分で限界を決めちゃいがちなので。そこをもう一段階、上に行けるように追い込ませています」
―契約更改の時に今年はチャレンジをいろいろしたいと。すでにチャレンジしてることは
「オフの練習に関して新しく取り入れるとか、そういうことはしていないですけど。なんて言えばいいか…ちょっと難しいんですけど。でも、変わったと言えば、ウエートのメニューというのは、もっとより細かく追い込めるようにトレーナーさんにお願いしてメニューをつくってもらったりで量的にはかなり多い。この後もやりますけど、2時間ぐらいかかっちゃいますし。そういう意味では、新しいウエート方法を取り入れてる。今まではずっと同じメニューを同じように繰り返していたんですけど、そういう部分を細かくしているという部分では新しい挑戦でもあります」
―初詣は行ったか
「もちろん」
―何を願った
「いや、毎年一緒ですよ。健康でお願いします、という感じですし、おみくじもここで言うほどのものを引いているわけでもないです。特にないですけど、本当にけがなく1年戦えれたらいいかなっていうふうには、お願いしてきましたね」
―今季は40歳になるシーズン
「ね。大台の40に乗りますし。昨年、言いましたけど、野球観が変わった1年だった。18年目になりますけど、新しい自分の野球観という意味では、第2章の2年目という覚悟で戦っていきたいなと思います」
―今年、野球以外で挑戦したいことは
「この年になってきてね、もう18年も北海道でお世話になっているので、何か北海道で野球以外の部分でも恩返しができるようなことをどんどんしていきたいなっていうふうに、ここ数年思っているので。そういうところに、果敢にチャレンジしていきたいかなとは思います」
―具体的に何か思い描くものは
「やっぱり野球、スポーツでね、何かできればいいと思うし。僕の場合はやっぱりけがとか、そういう手術を何度もしてきましたし、そういう意味ではスポーツ少年少女であったり、スポーツを愛する人に対して、まずはそういうところから何かやっていけたら、と思っています」
―あと31試合で900試合
「もう数字は、400(ホールド)を取って、ちょっと安心した部分があるので(笑)。またすぐ数字のことを言われると心が折れそうなんですけど。まあまあ、でもほんとに1年、しっかりチームに貢献できるように、というところを考えると、そこの900というのは今年達成して当たり前の数字にはなってくるので。ま、900はいくでしょう。はい」
―40歳。意識はするか
「前厄なんですよ! 前厄なんでね、厄が来ないように祈るばかりです」
―厄を感じることは
「これ、言っていいんかな。40代の厄って、周りに起きるって言いますよね。違います? 分からないですけど、僕が聞いたのは、本人というよりも周りの人、身内とかに不幸が起きるという話を聞いていて、きのう嫁が駐車していたら、風が強かったんですよ。隣に止めていた方が車に乗ろうとしたら、ドアが風でドンって車に当たるという災難に遭いました。だから、あ、厄だと、嫁とは話をしていましたけど。そのぐらいですかね。使えます? 大丈夫ですかね」
―奥さまの車が…
「そう。しかも、11月ぐらいに納車した新車が速攻で、3カ月で当てられて。もう不運でございますわ」
―厄払いは
「厄払いね。行けと言う人と、行ったら行ったで厄を逆にもらってくるんじゃないかと言う人といろいろおって。だけど、どうでしょうね。うーん、行った方がいいんかな? 時間があったら行きます。気にしないのが一番良いし、なんか起きたら厄のせいと、全部厄のせいにします、今年は」
―打たれても
「そう、厄のせいと言って。前厄だって」
―40歳は不惑。もう迷うことはないか
「いやいや、クネクネに迷いまくるよ、いつも。だけど、決めたことはやるというタイプなので、そこに関しては。決めるまでが優柔不断という感じなので、行動を起こしたら、もう。だからシーズン始まったら突き進んで行くとは思いますけど。どうなんでしょうね、迷いますよ」
―今年の調整は例年通り
「例年通りやっているわりには順調に来ているので、勝手にできあがりは早いという。だから体のコンディションはいいんかなという手応え、投げていてもそういう感じがある。細かいキレとか精度はまだまだここからキャンプにかけて上げていきますけど、ここまでは全然順調に来ているんじゃないかな」
―ウエートのメニューを多めにした理由は
「自分でも追い込む小山田(トレーナー)が熱心な対応をずっと鎌ケ谷にいる時にしてくれて、スクワットのやり方を、丁寧に一から教わって。で、数値も上がってきてということがあったので。そのまま結果にもつながっていましたし、コンディションがすごい良かったので。そういう意味でいつもざっくりな感じでやっている部分があったので、そこの部分に関してもっと細かく、やり始めたという。継続している感じですよね、去年から。でね、この時期の量としては多い、となっちゃって『大丈夫ですか? ランニングの量と調整してください』と言われたけど、さっき言ったように、いかに自分の限界を突破するかやから、僕の中で。だから、そういう意味では小山田は心配しているけど、自分は大丈夫。とりあえずこの時期しか追い込まれへんからという意味で、量が多くはなっている」
―2時間くらいかけて
「トータルね。最後の体幹のトレーニングもあるので、ウエート自体は1時間半ぐらい。今までより30分は長くなっている。セット数も多くなっている」
―それをやって去年、感じたことは
「ファームだったらいつでも野球ができる環境やけど、1軍のシーズンが始まると、ビジターに行ったらなかなかウエート機材がないというパターンがあるので。次の日に疲れを残さないというので、ケアを重視する。やっぱりトレーニングがおろそかになるんすけど、ウエートをしっかり春先にやっていたのが、直近で残っていたので。定期的にウエートを入れておけば、維持はできていたというところで、やっぱり波が少なかったと感じていた。それで、継続的に今年オフから細かくやっていこうという狙いですね」
―大学での自主トレは初心に戻れるか
「大学は初心に戻らんな。高校に行くとそういう初心の感じに戻りますけども、最近はないので。大学はね、どちらかと言えば、もうイケイケどんどんの性格やったし、迷惑しかかけてない。だから顔を出しづらい場所ではあるんやけど。子供が野球をしていて。少年野球の試合を見に行くと、初心に戻る。純粋に野球を楽しんでんなって思う」
―朝の散歩はどの辺りを回ったか
「五段坂という名物コースになるんですけど、ここの野球部では。もう最近は走ってないと言っていたけど、だいたい5キロくらい」
―その時に、ランニングコースの思い出話をすることも
「全くないね。あいつら練習が始まった瞬間に全然しゃべらんから、もう苦痛な練習が始まるという。ウエートが終わってから飯を食っていたんですけど、飯を食い出してようやくめっちゃしゃべりだす感じなので。きょうも50メートルを走っている時は一言もしゃべらなかったでしょ? この後の憂鬱(ゆううつ)さがあるんでしょうね」
―長くやるためには走ることや、ウエートの量は大事か
「量をやればいいという問題ではないと思いますけど、今まで長くやってきた人、他のチームの先輩方に会って話を聞くとやっぱりランニングは共通しますね。このご時世、数値(を重視する施設)だったり、そういうところに行って練習する子とか増えましたけど、それはそれで全然ありだと思います。ただ、共通したところで言えばランニング。これは不思議なくらい。今年もミズノのアドバイザー会議でヤクルトの石川さんと話して、オフとかどういうような感じで動き始めますか? と聞いたら、やっぱり年齢が30後半になってきたら休む方が体が逆に固まるし、体を常に動かしてがっつりやりすぎるとケガにもつながるし。そのバランスは難しいと言っていて。だけど体を常に動かすという話を聞いてやっぱりそうなんや。そこで納得できたので。そういう意味では動いてランニングというのは共通しているなと思いますね」
―40歳以上でホールド王のタイトルを取った人がいない
「ホールドの歴史がまだ浅いし、リリーフは短命だからね。そういう意味ではまあまあ、狙うと言ってもおかしいしね」
―元阪神の福原が38歳で取っている
「それは最終的についてくるものやし。2年連続で取った時の19年は狙ったけど、それ以外は狙ったことないかな。チームの状況にもよりますし、自分で(積み重ねる)ホームランとかとまた違うから。条件がそろって自分が投げるか投げないかやし。狙う狙わないはコントロールできない。結果、取れたらラッキー、運が良いというのが中継ぎのタイトルでもあるので、狙わないかな」
―せっかくなら40ホールドを
「40を取ったら(タイトルを)狙うわ! そうなったら取りに行くよ。まあ、そこはね、おいおいにしましょう」
―ファイターズの投手がタイトルを取れば、優勝が近づく
「それはもちろん。タイトルをファイターズが総なめできれば優勝は間違いない」
―今年はシーズン通して1軍で
「もちろん、それはある。1年間戦って1軍で貢献できたとなる。そこは1年間、戦いたい。ここ数年できていないからね」
―肘のケアで機器を買った。
「ラクリスね」
―今年も同じケアを継続
「基本的にはそう。体の硬さはラクリスで取って、試合後の針は継続している。年を取ってくると移動で固まるのでね、そういう意味ではラクリスは反応良いのでね」
―厄を払う活躍を
「そうね。途中でヤバいとなったら厄払い行くわ(笑)」