21世紀枠候補に秋全道8強の釧路江南 〝4戦4勝〟の3度目の正直なるか?
来春のセンバツ甲子園21世紀枠候補に選出された釧路江南ナイン=撮影・西川薫
過去に3度目の候補校はすべて出場
日本高野連は13日、来春のセンバツ甲子園に出場する21世紀枠候補9校を発表した。北海道地区からは、この秋全道8強入りした釧路江南が、2006年、07年に続き、全国過去最多タイとなる3度目の選出を受けた。01年に21世紀枠制度が始まってから、3度選出されたのは、昨春の石橋(栃木)など4校で、すべて3度目で悲願をかなえた。今春の別海に続き、釧根支部から2年連続の選出が実現するか、来年1月24日の選考委員会が注目される。
夏は4度出場 春はまだ
釧路江南が悲願のセンバツへ、第1ハードルを突破した。1950年創部で、夏の甲子園には61年に初出場。その後、66年、76年、77年と4度の出場があるが、春の聖地は未踏の地だ。道内から2年連続での選出は12年出場の女満別、13年出場の遠軽の1ケースのみだが、3度目のノミネートはこれまでに〝4戦4勝〟とプラス要素もある。ただ今春から21世紀枠は3枠から2枠とより狭き門になったため、15年7月に就任した楓川卓也監督(50)は「2校になったのでどうかな」と、過度な期待は控える。宍戸瑛太主将(2年)は「率直にうれしい。来年の夏にどれだけつなげられるかを意識してやってきたので、今回これでもう一回思い出せた」。改めて目標とする甲子園への決意を口にした。
3年ぶりに出場した秋の全道大会では、1回戦の帯広大谷、2回戦の遠軽をともに2-1の接戦で下して8年ぶりの8強入り。準々決勝では準優勝した北海に0-1と善戦。1試合1失点の堅守を誇り、札幌南と並んで公立校最上位の成績を収めていた。
10月19日の秋季全道高校野球、遠軽戦九回1死満塁の場面でサヨナラの決勝打を放った楓川(背番号2)を迎える釧路江南ナイン=撮影・中島聡一朗
駒苫の雪上ノックからインスパイア
選考理由は成績に加え、道東独特の気候での創意工夫だ。積雪量は札幌など道央圏に比べると少ないが、寒さが厳しく土は凍る。そこで通年グラウンドで練習するために、冬は指導者、部員が一体となり氷の上に積もる雪から「白い土」と呼ばれるグラウンドを作り、雪上で打撃や守備練習を行う。指揮官が中学の指導者時代に視察した、駒大苫小牧・香田誉士史監督(53)の雪上ノックからもインスパイアを受けたという。
全道大会3試合で打線は振るわず…
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課題はチーム打率だ。投手陣は絶対エースの佐藤勝輝(2年)が中心。秋は釧根支部4試合を含め、北海戦まで7試合に全て先発し、55イニング中54回で自責7点。防御率1.17をマークした。打線は主砲を任される宍戸主将を中心に、全道大会3試合で89打数17安打、打率0.191と低迷した。宍戸は別海中央中出身で、今春のセンバツに出場した別海の主力はチームメートばかり。より力が入る。「3度目の正直というのも、先輩が残してくれた大きなものなので、調子に乗ることなく、謙虚な気持ちで受け止められたら。選ばれた自覚をしっかり持って、一人一人が自分自身に厳しく、チーム全体としてレベルアップしていけるように」。モチベーション高く練習に取り組む。
選手とミーティングする釧路江南の楓川監督
1番・正捕手の楓川「守備はいいと思うので」
また指揮官の長男で、1年春から正捕手とリードオフマンを務める楓川瑛太捕手(2年)も、全道では3試合13打数2安打。この秋、親子鷹としても注目を浴びたが「レベルの高いピッチャーの時に、いつもと変わらずにやれる、という力がチームにはない。守備はいいと思うので、このまま伸ばしつつ、バッティングで同じことを常にできる、というようにやっていきたい」。ビニールハウスでのチーム打撃練習では、マシンを130キロから140キロに設定し、目を慣らすことから速球対策に取り組む。
肉体改造に着手し吉報を待つ
楓川監督は、11月に行われた明治神宮野球大会の横浜-東洋大姫路戦を視察。「一番の違いは、体の違い。打球のスピード、投手の球の速さ、明らかに自分のチームが神宮に立った時に、どういう風に入るか、というところを見比べた時に、そこを一番感じた。体づくりからのスイングのスピード、投手のスピード、そこをしっかり理解しながらやっていかなければ」と、肉体改造にも着手する。今年は例年よりも3~5日少ない、年末年始8日間のオフ。吉報を願いながら、運命の日を待ち望む。