【一問一答】宮西尚生 一時は引退覚悟も新庄監督の「楽しめ」で奮起 40歳シーズンも突っ走る
日本ハムの宮西尚生投手(39)が5日、エスコンフィールド北海道で契約更改に臨み、1500万円アップの年俸6500万円でサインした(金額は推定)。今季はチェンジアップを習得するなど、新境地を開き、30試合に登板し、19ホールド、防御率2.10の好成績をマークした。40歳になる来季も新庄剛志監督(52)から授かった「楽しめ」を全力で体現する。一問一答は以下の通り。
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―サインは
「しました。流れ的に10億とか言った方がいいの(笑)。アップしていただきました」
―思っていた額だったか
「そこは全くなく、契約していただいたことに感謝。それしかないです」
―球団から、どんな言葉をかけられたか
「ここ数年、年齢とともに落ちてくる体力だったり、結果もそうでしたけど。そこからチェンジアップを覚えたこと、進化したこと。気持ちが切れずに盛り返したことに関して、すごく評価していただきました」
―球団に伝えたことは
「何もないです」
―今季を振り返って
「個人的には新しいことにチャレンジして、監督の楽しめという言葉をよく考え、自分なりに表現、考え方を決めて、新しい野球観ができた。今までと違った見え方があり、自分が成長できたなと思います。チームの状態が良くて、優勝争い、CS(クライマックス・シリーズ)を久しぶりに経験できたことが、本当に楽しかった。最後、ソフトバンクに力の差を見せつけられた。そこの悔しさはあります。勝ってファンの方が喜んでくれて、ああいう大歓声がCSの時に起きて、やっぱりこれを求めていたんだと。来年、ああいう戦いを常にできるように、そして最後、笑いたいと思います」
―後輩たちを見てどう感じているか
「成長したなと感じますね。ブルペンを中心に回った生田目、河野、(田中)正義、山本拓もそう。質問の質、内容というか。1軍で戦い続けるためには―という質問が多くなったのは、チームのことを考えて自分も成長しようと、なんとか1軍のリリーフの枠をキープしてやる、という意識の高さからだと思う。ファームにも6月までいましたけど、自分たちが何をやるべきなのか、としっかり考えてトレーニングしているし。自分が20歳の時を考えたら、すごいなと思う。そういう後輩たちから刺激を受けて。それこそ、チェンジアップを覚えたのも若い子の刺激があって、俺もなんかやってみようと考えたので。たくましい後輩たちの中で、できているなと思います」
―2軍スタートから奮起した原動力は
「どこにあるんでしょうね。球団は、気持ちが折れずに、進化して帰ってきたことを評価してくださいましたし。正直、開幕から1軍に上がれないまま、いよいよかなと腹をくくれたというか…今年までかなと。何と言えばいいか分からないですけど、最後やったら、楽しく終わりたい、新しいことにチャレンジして終わりたいなと。そこで腹をくくれたというのが後半の原動力、状態の良さ(につながった)。気持ちが切れずに楽しさをつかめた、というのが大きかったかな。正直、4月、5月は辞めたい、辞めよう、今年までと腹をくくっていたので。まさか、こういうことが起きるとは。CSの最後のイニングを任せてもらうとは想像もしていなかった」
―来年は40歳に。チャレンジしたいことは
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「チャレンジはしたい。せっかくチェンジアップも1軍で使える球になっている。覚えたばかりだったので、修正方法が難しかった。そこは突き詰めていきたい。スライダーもしっかり、もう一度、磨き上げて。あとは今年同様、楽しみたい。楽しむためにはしっかり準備する。だからこの時期を大事にしていきたい」
―オフの調整は
「これに関しては1年目からほぼ変わらず、ひたすら走ってきます」
―それだけ走り込みが大事だと
「僕自身はそう感じている。もちろんほかのトレーニングも大事だし、技術も磨かないといけないと思いますけど。僕がやってきた自主練習の方法は、引退するまで変えるつもりはない。しっかり走り込んでキャンプインしたい」
―どのぐらい追い込むのか
「人それぞれの感覚があるので、何とも言えないですけど、しっかり走ります」
―目標を
「このチーム、このメンバーと日本一になることです」
―来年も頑張ろうと思った出来事は
「やっぱり野球観というか、見え方というか、そこが大きいんじゃないかな。楽しむって、なんやねんというふうにホンマ考えて、(1軍に)上がるまで。監督からDM(ダイレクトメール)で言われた『頑張らんでいい、楽しめ』というあの言葉が一つの分岐点になったんじゃないかなと思いますね」
―CSを争っている頃は、続けようと
「そんなことすら考えてない。目の前の試合、バッターに対する1球であったり。そういうのを楽しんでいたというか。次に何を投げようとか、チェンジアップを放りてえとか。本当にシンプルというか。今までやったら、いろんなプレッシャーとか責任を背負いながら、この球で打たれるぐらいなら、こうしておこうとか、いろんなことをやってきた野球やったし。それはそれで全然、良かったし、自分のためにもなって、ここまで来られているし、それは正解だった。でもここ数年、年齢とともに体力であったり、技術であったりというのが落ちてきていて、その中でその言葉があって、見え方が変わったというか、そういう部分で、こういう考え方とか、こういう見え方もするんだ、という気付きがあったから、楽しいというのがあったので。新しい野球人生が今年はできたから、そういう意味で来年2年目。2年目です、2年目の選手です(笑)。ホンマにそんな感覚です」
―現在869試合登板。その先は
「それ、最近よく聞かれるけど、もう気にしない。監督にも言われたけど、本当に楽しんで終わった先に、何試合やったなという。その感じ。自分も何試合になるか分からない。終わった時に例えば、1000試合やったとか、950ぐらいでしたとか、そういうふうな見え方でいいんじゃないかなと。本当に一年一年、一試合一試合を楽しんで、いいんじゃないかなと。ここまで俺、頑張ったし(笑)。もう楽しんでやる。無の境地ではないけど、そんな感じかな」
―それが楽しむの答え
「だけど、この楽しむって人それぞれ違うし、選手一人一人。この言葉って一番、奥が深いと思うよね。ただバカ騒ぎするのが楽しいじゃないし、やっぱり勝ってこそだし、抑えてこそだし、納得いってこそだし。でもそのために、何すんねんとなった時に、やっぱり準備というのは絶対に大事やから。だからこの時期は、すごく大事な時間だなと。十分休めたしね。ここからは本当に集中してやっていきたい」
―秋のキャンプでダルビッシュと再会。あらためて刺激になったか
「ちょっと次元が違いすぎて、刺激もクソもないですけど。だけどね、ああやって世界で活躍している、言うても1個下の後輩ですから。刺激になるというか、お互い年齢も1個しか違わないから、先輩後輩というより友達感覚だし、世界でああやって頑張っているというのは、もちろん自分も頑張らないとあかんなと思う。こうやって帰ってきた時に、わざわざ一緒に練習しましょうと言ってくれるのもやっぱりうれしい。刺激と言ったら、おこがましいです」
―意見交換しているように見えたが
「お互い年を取って、40歳手前になって、悩みが似ていたんですよ、やっぱり。体の疲れる箇所だったり、けがのしやすいところであったり、体調の変化であったりとか。そういうところが本当に全く同じやったんで、俺はこんな感じでやっているけど、どんなんしてるの?とか、そういう話し合いは一番したかな」
―若い頃と、会話の中身が違うか
「全然、違いますね。若い時はお互い、どんないたずらをし合おうか、ばかり考えていたんで(笑)」
―年明けは地元で自主トレを。メンバーは
「いつもと一緒ですよ。堀、山本(晃)と(ソフトバンクの)長谷川と。僕は1人でやりたいんですけどね」
―後輩は厳しい練習を恐れている
「でも、それでいいと思います。だって1人でできるようになったら自分でやればいいし」
―自分も走るし、後輩も走らせる
「もちろん。僕はめっちゃ走るし、後輩はもっと走らせるし。若い時にしか走れないんですよ、やっぱり」