■都市対抗野球北海道地区１次予選（５月１９日、栗山町民球場ほか）
▽１回戦　帯広俱楽部ＶＩＣＲＯＳＳ９－２札幌俱楽部

打者としても長短４安打

　今春に帯広俱楽部VICROSSに加入した元ソフトバンクの１６０キロ左腕・古谷優人（２５、江陵高出）が札幌俱楽部とのアマチュア球界復帰初戦を９－２の勝利で飾った。「３番・右翼」で先発出場して長短４安打と、まずは打撃でアピール。九回に投手３番手でマウンドに上がると、無失点に抑えて初戦突破に貢献した。

九回２Ｋも満塁ピンチ招き辛口

　特徴的だった長髪を「だらしなかったので」とばっさり刈り上げ、すっきりとした頭で初戦に臨んだ。背番号１８を背負った古谷は地元北海道で再起の２９球。打者として５度出塁し、両足がけいれんしている中でのマウンドだった。２奪三振も先頭には死球を与え、被安打１、２四死球と満塁のピンチを招いてしまった。

「楽しいっすね、常に。野球っていい」

　「（両足けいれんは）そんなの言い訳にならないんで、もっとトレーニングしないといけない。プロの時はこれが普通だったんで、やっぱり」と投球内容には辛口だったが、しっかりと終盤の１イニングを無失点に抑えきった。久しぶりに公式戦の緊張感も味わい、「楽しいっすね、常に。打てなくても悔しいし。でも野球っていい」と流れる汗を拭った。

チーム内での窃盗で自由契約に　「また野球を通じて…」

　江陵高３年時の２０１６年に北北海道大会で４強入り。ドラフト２位でプロ入りした。２１年１０月に初勝利を挙げるも、チーム内での窃盗を理由にその年のオフに自由契約となった。２３年夏に地元の幕別町に帰郷し、建築関係の企業に就職した。自由契約となったあとも非公式で１５３キロを計測するなど衰えを感じさせず、即戦力としてこの春に帯広俱楽部に加入した。

人としてもっと良くなれるように

　「もうしてしまったことは仕方ない。それはしっかりと反省した上で、また野球を通じて何か自分ができることがないかを考えた時に（中学３年の硬式野球教室Guts）ガッツを通じて、自分自身も人としてもっと良くなれるように、野球を通してなっていけたら」と、地元での再出発を決断した理由を明かしてくれた。

ムードメーカー的存在になれたら

　古谷の加入でチームの士気は上がっている。帯広俱楽部は若手も多く、古谷を慕って平日練習の参加率は例年よりも高い。チームが勝ち上がっていくにつれ、より一層注目が集まるが、「元プロだからって偉そうにすることなく、チームのムードメーカー的な存在になれたら」。かつての日本最速左腕が、北海道で再び輝きを放つ。