■スピードスケートワールドカップ帯広大会　第２日（１１月１１日、明治北海道十勝オーバル）
▽女子１５００メートル、女子チームパシュート

２つの金メダル獲得に「地元で優勝できたのは特別」

　Ｗ杯、地元初優勝！ 高木美帆（２９、ＴＯＫＩＯインカラミ）が世界記録を保持している１５００メートルで貫禄を見せた。１分５４秒５４と２位に１秒以上の差を付けると、その後に行われたチームパシュートでも優勝。出場した３種目で金メダル２つ、銀メダル１つを獲得し、地元を沸かせる活躍ぶり。高木も「ここのリンクで一番滑ってきたという思いもあった。地元で優勝できたのは特別」と喜んだ。

１０００は２位も　得意種目で貫禄Ｖ「最低限のことはできた」

　本命となるレースでは敵を寄せ付けなかった。１０日の１０００メートルでは２位に終わったが、得意の１５００メートルはトップを譲らなかった。「爆発的なタイムではなかったけど、最低限のことはできた」。海外勢のコンディションが上がりきっていない現段階では、Ｗ杯優勝をも〝最低ライン〟に設定していた。「Ｗ杯も始まったばかりで、ここに懸けてきたわけではないので、結果で評価をすることはまだできない」と冷静に分析した。

姉がＴＶ解説　兄が会場アナウンス

　しかし、地元での金メダルは特別なものだった。意外にも帯広大会での優勝は初めて。「姉が解説に入っていて、兄がアナウンスをやっていた。高校の同級生たちが変わらずに応援しに来てくれてうれしかった。数年前まで一緒にスケートをしてきた人たちがスタッフとして関わってくださったり、お世話になっている先生方も来てくれて、特別だなと思いますね。ここでしか感じられない場所」。

先頭を交代せずに滑ったパシュート

　個人の滑りでもさらなる進化を追求しているが、チームパシュートでも同様だ。この日は高木が先頭に入り、一度も交代しないまま滑りきった。スピードを維持することが最大の目的で、２位のカナダやオランダなど、世界でも主流となってきた作戦。「先頭交代しないでいく不安を拭いきれないレースではあったけど、一つの形として終えることができた」と２分５８秒０３を記録しての優勝。「私が止まると全てが止まる」難しさもあるが、「次が楽しみなレースになった」と、新たな挑戦に一定の手応えも感じたようだ。

新体制の所属チームでは潤滑油的な役割も

　所属する「ｔｅａｍ　ＧＯＬＤ」が新体制となり、初の国際試合。海外勢とも共に練習していることから、あらゆる刺激を受けている。９月の練習公開時には「チームがうまく回っていくために、スタッフと外国人選手との間に入らないといけない場合もある。そういうときに責任感を感じているところはある」と話すなど、潤滑油としての動きも求められる。「人間的に得られる経験もある」と充実した表情を見せた。

「ここから良くしていきたい」

　「（チームとして）良いリザルトも、これからだなというリザルトもあった。全体的に『ここから良くしていきたい』というふうにみんなが思っていると感じています。（Ｗ杯）２、３戦目になってくると、もう少し落ち着いてくるかなと思っているところもありますね」。チームとしても、個人としても、最適解を探している段階。この地元初勝利を、いい弾みにする。