■パ・リーグ２４回戦　ロッテ４ー２日本ハム（９月２７日、エスコンフィールド北海道）

大切な試合で３番手登板　見事に１回１安打無失点　

　日本ハムの谷内亮太内野手（３２）が２７日、ロッテ戦（エスコンフィールド北海道）で引退試合に臨んだ。球場からの帰りに〝運転手〟を務めるなど親交の深かった玉井大翔投手（３１）は、七回から３番手で登板し１安打無失点。登板後のベンチでは隣同士で並び、「谷内さんのために勝ちたいと思っていた。勝てなかったんですけど、とりあえずゼロでいけて良かったです」と振り返った。

沈んだ時は〝谷内頼み〟　支えになってくれたベテラン野手

　２学年違いの谷内と玉井。大きなきっかけがあったわけではないが、自然と一緒に食事へ行く仲となった。佐呂間町出身の道産子右腕が、お世話になった先輩への思いを明かした。
　「かなり寂しいっすね。支えを失った感じですね。（僕にとって）沈んだ時は谷内さんーみたいな感じでした。打たれた時、こっちの様子を見て、ちょっとふざけながら声をかけてくれたり、本当に落ち込んでいる時は真面目に。いろんなことを察知して、いろんな人に声をかけていましたね」

絶妙な声かけ　打たれた時は決まって車に同乗

　玉井は札幌市内に自宅があり、谷内は同市内で寮暮らし。リリーフに失敗した日は、車の助手席に先輩を乗せて球場から帰ることが多かった。
　「打たれた後は、家が寮方面じゃないのに、よく寮まで送らされました。その車の中で、よく話を聞いてもらいました。手術明けだった２１年は開幕１軍に入ったんですけど、前半戦はボコスコずっと打たれた。その時は僕が死んだ顔をしているのを見かねて、めちゃくちゃ声をかけてもらいました」

互いを信頼しているからこその〝けなし合い〟

　いじられキャラの玉井と、ユーモアセンスもある谷内。冗談を言い合えるほどの仲だった。
　「いつも、やり合いみたいな。僕が打たれた時は、雰囲気を見て『おまえは、その程度のピッチャーなんだから、打たれて当たり前だろう』とくる時もある。僕も谷内さんが打てなかった時、『谷内さんはバッティングの人じゃないですか』とか、けなし合いがありました。それを受け入れてくれました」

今も記憶に残るシーン　温厚な先輩がキレた！

　玉井には忘れられない思い出がある。何を言っても笑って許してくれる温厚な先輩を怒らせたことがあった。
　「（チームで）唯一、谷内さんをキレさせたことがあります。去年、谷内さんがチャンスでスクイズをファウルにして凡退した。ベンチで珍しく『はぁ～』となっていたので、僕が『谷内さんは守備の人なんだから、打席は関係ないっしょ』と言ったら『うるさい』みたいな。谷内さんが怒ったところを初めて見ました」

　まさかのリアクションが返ってきたため、即座に「すみません」と謝罪。「じゃあ（帰り車で）送っていけよ」と寮まで送り届けることで許しを得たという。

ともに過ごした時間は宝物　「良い指導者になると思います」

　「マジで引退はめっちゃ寂しいです。本人もめちゃくちゃ苦労してきているので、こっちの気持ちも分かる。コーチとか、良い指導者になるのは間違いないと思います」

　一緒に球場から帰ることはなくなっても、思い出は色あせない。