芸能文化
2023/07/24 16:00

藤井聡太時代に待った! 道産子A級棋士・広瀬章人八段に迫る㊦

連載の3回目は、広瀬章人八段(左)が出身地・北海道への思いを明かす

道産子棋士として天才に挑む

 将棋界は現在、一人の大天才を中心に回っている。藤井聡太七冠、21歳。しかし、そこに勇敢に立ち向かう北海道出身の棋士がいる。広瀬章人八段、36歳。昨年度は竜王戦で挑戦者となり、これまで7番勝負では4勝1敗が最低成績だった絶対王者に初めて2つ黒星をつけた。名人への挑戦権を争う順位戦では、最上位の10人しか戦えないA級に10期連続で在籍する。打倒・藤井の1番手集団にいる実力者に、今後の目標や対局までの過ごし方、2歳の子どもと過ごすプライベートまで、余すところなく話を聞いた。全3回連載の3回目は、出身地・北海道への思いを明かす。

小学生のときに北海道代表

 広瀬八段の戸籍上の出身地は東京都。それでも、北海道出身だと胸を張る。実際に道内で暮らしたのは小学3年から6年までの4年間だが、心には今も道産子魂を宿している。

 「まず、父親が北海道人で、今でも自分の祖父母は札幌に住んでいます。あとは、将棋は小学生のときにどこにいたかが重要なんです。小学生の1番大きな大会があって、昔は東京と大阪でしか開催されていなかったんですが、私のときに初めて都道府県ごとの予選が始まった。それで、北海道代表になることができました。それもあって、北海道出身と言ってもいいかなと。実際は関東生まれなんですけど、奨励会に入ったときには自分で北海道出身だと思っていました。プロフィールは最初、戸籍通り東京都出身にしていたんですけど、北海道出身の兄弟子に野月さん(プロ棋士、八段)がいて、すごく面倒見のいい先輩なんですが、その方に『北海道出身に変えた方がいいんじゃない?』ってアドバイスをいただいたこともあって、途中で変えました。東京都出身はたくさんいますし、北海道関連の仕事も多かったので」

「牧場があるような場所でのんびりするのが好き」

 穏やかな性格と実力の高さを形容し、「鷹揚流」と呼ばれる。まさに、北海道出身者にぴったりの言葉だ。広瀬八段自身も、北の大地の雄大さに憧れを抱いている。

 「基本的には札幌に行くことが多いですけど、北海道は雄大な土地なので、本当は帯広のようなのどかな、牧場があるような場所でのんびりするのが好きです。ただ、まだなかなか実現できてはいませんね。ずっと前に行った襟裳岬とか、海を一望できるような場所も、心がきれいになる感じがして好きです。食べ物は海鮮ものが基本的に好きなんですけど、この間は久しぶりにジンギスカンを食べたらすごいおいしかったです」

対局に負けたときはよく泣いていた

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