Jリーグ
2023/05/15 19:29

《Jリーグ30周年特別企画》本紙評論家・平川弘氏インタビュー 記念すべきJ開幕戦にフル出場

Jリーグ30周年特別インタビューに応じた平川氏(撮影・工藤友揮)

左サイドバックで勝利に貢献 歴史的一戦を述懐

 1993年5月15日にスタートした日本のプロサッカーリーグ『Jリーグ』。当初10チームで始まったJリーグは現在、北海道コンサドーレ札幌をはじめ、41都道府県60チームにまで増えるなど、日本サッカーの成長とともに発展してきた。

 今回はJリーグ30周年特別企画として、ヴェルディ川崎(現:東京ヴェルディ)対横浜マリノス(現:横浜F・マリノス)の開幕戦で先発フル出場した道新スポーツ評論家の元日本代表DF平川弘さん(58)にインタビュー。この歴史的な一戦について振り返ってもらった。(以下、敬称略)

5万9626人の大観衆 プレミア化された入場チケット

 「びっくりしましたよね。お客さんが満杯で」。試合開始直前、会場となった旧国立競技場のピッチに足を踏み入れた瞬間の光景をそう振り返る平川。この日の会場には5万9626人の観客が来場した。「チケットにすごくプレミアがついて。選手には、家族やお世話になった人に渡すためのチケットを用意してくれたんですけど、見たこともない親戚とか友達から電話がかかってきたりして。それくらいチケットを手に入れるのが大変だったんだろうけど、びっくりしましたね」。この逸話が、当時の一戦がどれほどの注目を集めていたのかを物語る。

決して恵まれた環境ではなかったリーグ発足前

 平川は順大在学時の1985年に日本代表入りした実績を持ち、大学卒業後の87年にはJSL(日本サッカーリーグ)1部の日産自動車サッカー部(横浜Mの前身)に入部した。当時の日本サッカー界を取り巻く状況について「お客さんを入れるために、リーグ戦のチケットをタダで配ったりとかしてましたね。代表戦を西が丘(東京都北区のサッカー場。収容人員7258人)のような小さいところでやったり」と説明。現在とは異なり、人気は低迷していた。

 もちろんハード面も十分ではなく、「今みたいな緑の芝ではなくて、冬になるとはげてしまうような茶色い芝のところでやったりとか、土のグラウンドでリーグ戦をやったことも。だからボールはボコボコ跳ねてしまうし、『ダイレクトでパスをつなげ』と言われても困ります、みたいな時代でしたね」

徐々に熟成されていったサッカー熱 91年のリーグ発足発表が転機

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