ファイターズ
2023/02/07 21:55

【緊急特別企画】金子千尋特命コーチ独占インタビュー《前編》選手のために何ができるんだろう

居残り特打で打撃投手を務める金子特命コーチ(撮影・松本奈央)

指導者として新たな道を歩み始めた沢村賞右腕が道新スポーツWEBに激白

 第1クールまで春季キャンプに参加していた日本ハムの金子千尋特命コーチ(39)が道新スポーツWEBのインタビューに応じた。2014年の沢村賞右腕は19年にオリックスから日本ハムへ移籍し、昨季限りで現役を引退。ファイターズに在籍した期間は4年と短かったが、チームに与えた影響は大きかった。背番号91のユニホームに身を包み、指導者の道を歩み出した同コーチの思いをほぼノーカットでお届けします。

選手ファーストへ方向転換 万全の準備を整えてキャンプイン

 ーコーチとして迎えた春季キャンプ。今の心境はいかがですか
 「全然、違いますね。選手の時は自分のためにやっていたけれど、今後は選手のためにやる。違うプレッシャーもありますし、『選手のために何ができるんだろう』と、まだ見つかっていないですけど、そんな思いでやっています」

 ーキャンプでは打撃投手を務める場面もありました。オフはトレーニングを継続していたのですか
 「投げてこいと言われたからには、しっかり準備をしたかった。ある程度のものを求められていると自分では勝手に思っている。球団側からの『これくらい投げてほしい』という予想は超えたかった。(練習で)投げておけば、力を抑えることもできるので、ある程度投げてきました」

1年目の伊藤に「そういう選手になってはいけない」

 ―ここからは選手時代の話を聞かせてください。新人だった伊藤大海投手(25)がフェンスに背中をかけていた際、壁から離して『そういう投手になってはいけないよ』と声をかけたそうですね
 「ランニング中ですね。僕の考えを押しつけているわけではないんですけど。試合中にできないことは、練習中にしないという僕の中の自分ルールがありました。ベンチは別として、試合中に壁にもたれることはない。カバーリングに行って、ハアハアしていても立っていないといけない。膝に手をついて休むのも、打たれた時だけ。打たれた時の練習をする必要はない。もたれた方が、もしかしたら回復は早いかも知れない。でも、もたれないと回復できない体になるのが嫌なので、僕は絶対しませんでした。玉井(大翔)とか何人かの選手には言ってきました」

 ー練習中から意識することが大事
 「練習態度は誰が見ているか分からない。もし野手が見ていて、アイツ何しているんだ、と少しでも思ったら信頼関係が崩れるかもしれない。ちょっと恥ずかしい話なんですけど、僕は〝野球の神様〟がいると思っている。そうでないと、怠けてしまう自分がいる。〝野球の神様〟から見られているから、そう思ったら抜けないじゃないですか」

 ―伊藤のことを期待しているからこその助言
 「やってもらわないといけない選手。全員そうですけど、特にそういう選手だと思う。結果だけではなくて、練習態度、普段の過ごし方も見られる選手になってくる。ただ、結果を出せばいい選手ではない。ちょっとずつそういうレベルを上げていってもらえたら、より成績も勝手に残ってくると思います」

日本ハムでは後輩に惜しみなくアドバイス 

 ―金子コーチがそう考えるようになったのはいつからですか
 「1軍で投げ始めた時に、オリックスのトレーニングコーチに言われました。先発投手、勝ちパターンで投げるリリーフ、クローザーは特に見られているところで練習しろ。そして1人でやれと言われて、そこから練習中は1人でやるようにしています。極力しゃべらないし、一度やり始めたら止められたくないので、ちょっと話しかけるなオーラが出ていたと思います。オリックスの選手には当時、話しかけにくいという風に思われていたと思います」

 ―日本ハムでは、後輩投手にアドバイスをしているシーンを多く見かけました
 「話しかけられたり、質問されたら答えるようにしていました。多かったのは変化球の話ですね。聞かれたことには僕が考えている理論だったり、特に隠すことはなく。その選手ができるかどうかは別として、話すようにしていました」

高卒2年目の達、畔柳に感銘 「ちゃんと考えてやっている」

 ―昨季は2軍で過ごす時間も。若手投手と話す機会はありましたか
 「畔柳(亨丞)君は高卒1年目で僕は38歳。なかなか話しかけずらかったと思う。その中でしっかり聞きたいことを聞いていて、聞くだけではなくて実践していた。取り入れて何とかしたいというのが伝わってきて、そういう選手とは話し始めると長くなりました

 ―他に質問をしてきた選手はいましたか
 「達(孝太)君にも話しかけられました。彼の場合は、チェンジアップをある程度投げられるようになってから聞いてきました。高卒1年目と思えない。畔柳君もそうですけど、ちゃんと考えてやっている。ただ、漠然と球が速くなりたい、この球が投げたいではなく、なぜ投げたいのか自分には何が必要なのか考えられるなと思いました」

 ※金子特命コーチのインタビュー《後編》へ続きます。公私共に仲が良いエース上沢直之投手(29)への期待、家族で1軍本拠地にある北海道に移住した理由を明かした。

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