冬季スポーツ
2023/01/15 20:00

渡部陸太 W杯初出場決めた「戦えるように準備したい」 STV杯ジャンプ、コンチネンタル杯ジャンプ

W杯初出場を決めた渡部陸太(撮影・桶谷駿矢)

■STV杯国際ジャンプ大会、FISコンチネンタル杯(15日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
▽FISコンチネンタル杯男子個人第10、11戦

 下克上に燃える渡部陸太(27、東京美装)が初のW杯を決めた。午前中のSTV杯で26位(コンチネンタル杯第10戦22位)に入ると、午後に行われた第11戦では28位。20日から行われるW杯札幌大会(大倉山ジャンプ競技場)の国内出場枠を懸けた試合できっちりと結果を残し、対象者10人中の上位7人に入った。STV杯はヨアキムエデゴール・ビョレン(27、ノルウェー)、コンチネンタル杯第11戦はフィリップ・アッシェンヴァルト(27、オーストリア)が優勝した。

アプローチ時の目線を修正

 「状態があまり良くなかった」中でこの日の2連戦を迎えたが、第11戦の2本目でK点の123メートルを記録。自身初のW杯に向けて「さっきの試合(第10戦)の反省を生かして、自分の中ではきっかけになる2本を揃えられた」と納得の表情。アプローチ時に目線を遠くに置いていたが、重心が後ろに残り、スキー板に乗り遅れることがあった。その悪癖を修正するために、目線を少し手前に向けたことが功を奏した。「空中までの流れもスムーズに行った。そこを磨ければ、W杯でもチャンスあるかなと思うので、いい形で終えられました」

大倉山育ち、同級生・佐藤幸はW杯遠征組

 実家から大倉山までは徒歩5分。幼少期からよく観戦に訪れるなど、この大倉山で生まれ育ったことが、ジャンプを始めるきっかけになった。2007年の世界選手権では、レジェンドのシモン・アマン(41、スイス)が優勝。共に見に来ていた同級生の佐藤幸椰(27、雪印メグミルク)と待ち構え「アマンに握手してもらいました」と笑う。その佐藤幸は札幌日大高時代のチームメートでもあり、常に前を走っている存在だ。「ライバルって言えるポジションにまだ行っていないなと思うんですけど、すごい気になりますし、第一線で走っている彼は原動力になります」。そして「次のオリンピックを目指して、幸椰と一緒に出られたらいい」と、26年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪出場を思い描く。

 W杯札幌大会をそのきっかけとする。好成績を残せると、W杯の遠征メンバー入り、2月の世界選手権も見えてくる。「大倉山で飛べるので、まずは楽しめる状態まで仕上げたいです。W杯のポイントはもちろん獲りたい。今は(W杯)メンバーの入れ替えのチャンスがある。戦えるように準備はしたい」。世界へ羽ばたいていくには、これ以上ない舞台が整った。


■プロフィール 渡部陸人(わたなべ・りくと) 1995年7月9日、札幌市生まれ。大倉山小2年時にスキージャンプを始める。宮の森中から札幌日大高に進学。卒業後は東京美装に就職し、2021年のHTB杯ジャンプでシニア大会初優勝を果たす。173センチ、58㌔。家族は両親と姉2人。


▽W杯札幌大会参戦メンバー
小林陵侑(26、土屋ホーム)、中村直幹(26、フライングラボラトリー)、佐藤幸椰(27、雪印メグミルク)、小林潤志郎(31、雪印メグミルク)、二階堂蓮(21、日本ビール)、竹内択(35、チームtaku)、佐藤慧一(25、雪印メグミルク)、内藤智文(29、米沢スキージャンプクラブ)、渡部陸太(27、東京美装)、岩佐勇研(23、東京美装)、原田侑武(32、雪印メグミルク)、清水礼留飛(29、雪印メグミルク)
※22日はW杯ランキング上位6人が出場