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2023/01/04 11:30

道新スポーツ×鶴岡慎也釣り企画①極寒の海で釣りの魅力を語る

洞爺湖町の漁港で糸を垂らす鶴岡さん。釣りの魅力をたっぷりと語ってくれた(撮影・松本奈央)

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新企画スタート!ゆったりと竿を垂らしながら あれやこれや♪

 元日本ハムで本紙評論家の鶴岡慎也さん(41)による新企画が始まります。テーマは釣り。「素人に毛が生えた程度」の実力を自称する鶴岡さんと、全くのド素人である道スポ記者・宮西が、釣り人の楽園と呼ばれる北海道の各地方を訪れます。竿を振る合間には野球やプライベートの話も盛りだくさん。肩肘張らない緩い空気感で海を見つめ、大物ゲットの時を待ちます。

噴火湾の恵みを求めて~ 狙いはカジカ&アブラコ

 大寒波が日本列島を襲った12月19日。世界中がワールドカップ決勝の熱狂に包まれた深夜に、鶴岡さんは車を走らせた。目的地は虻田郡洞爺湖町。噴火湾のカジカとアブラコに狙いを定め、極寒の海へと向かった。午前3時30分。氷点下7℃の真っ暗な漁港に到着し「やばっ! 寒っ!」と第一声。それでも笑顔を浮かべるのは、生粋の釣り人だからであろうか。

 現役引退から約1年。ユニホームを脱いだ鶴岡さんは、テレビでの野球解説、新聞の評論、ラジオ出演、社会人野球の指導、侍ジャパンのスタッフなど、労を惜しむことなく球界の内外に活躍の場を広げた。多忙な日々を送る一方で、趣味にも情熱を注ぐ。なかでも釣りは「遠足の前に寝付けなくなる。子どもの頃に感じたのと同じワクワク感をくれる」と、特別な時間であることを強調した。

入念な準備 現役時代と同様に一切妥協なし

 準備にも一切の抜かりはない。事前に道内の専門紙・釣り新聞編集部を訪れ、カジカの生態をリサーチ。エサ、仕掛け、針、ルアーなどあらゆる情報を仕入れた上で、当日を迎えていた。「まだ知識がなさすぎる。釣りの世界でも結果を出したいから。良いコーチがいないとうまくならないのは野球と一緒。今は独学でやっているので、良いコーチとの出会いを求めている」。その目は真剣そのものだった。

 漁港に到着してから防寒着に着替え、釣り具、椅子、飲み物を温めるためのガスコンロなどを準備。撮影用の機材を釣り場に運ぶまで、約1時間を要した。いざ、入釣となったのは午前4時30分。「よいしょ~」と威勢の良い掛け声とともに、鶴岡さんは海へ向かって竿を振り抜いた。使用したのはコマセネット付きイカゴロ仕掛け。餌はアミエビ、ソウダガツオ、イカゴロ、イソメと複数用意。この日が初の釣り体験となった記者のために、鶴岡さんは2人分の仕掛けを何度も用意してくれた。

まさか…! 初ヒットは同行記者 鶴岡さんも祝福

 最初に当たりが訪れたのは、まさかの記者だ。見よう見まねでリールを適当に巻いていると、針が体に突き刺さった状態の魚が海から姿を現した。釣れたと言うには恥ずかしすぎる人生初ヒットは「ガヤ」と呼ばれるメバルの仲間。釣り人からは外道として嫌われ気味の魚だという。鶴岡さんは笑い声を交えながら「ガヤガヤするぐらい獲れるから、ガヤって言うんですよね」と、豆知識を披露しつつ記者の初体験を一緒に喜んでくれた。

 当たりの興奮もつかの間。時間が経つにつれ、2人は北海道の真冬の釣りの厳しさを味わうことになった。釣れども釣れども、上がってくるのは外道のガヤばかり。狙いのカジカやアブラコの気配は感じられない。鶴岡さんは「やっぱり素人と素人に毛が生えたヤツ2人で来てもダメだね…」と自嘲気味にこぼした。

自然の厳しさを痛感 アクシデントも追い打ち 

 さらに自然の厳しさが、我々に追い打ちをかける。餌を付け替えるなど細かい作業を行う際は手袋を外すため、どうしても肌が空気に触れてしまう。指先の感覚はあっという間になくなった。氷点下の空気は万物に対して容赦がない。釣り上げた小さめのガヤをリリースするため、口から針を外す。そんなわずかな時間でさえ、魚は一瞬で凍ってしまう。急速冷凍されたガヤたちは、海に帰したところで息を吹き返すのだろうか…。そんな疑問が頭をもたげた。

 12月、北海道の海辺。耐えがたき寒さであることは想定内…のはずだった。鶴岡さんと記者は、それぞれがガスコンロを事前に用意。お茶や缶コーヒーを湯煎し、ほっと一息つく時間を設けようともくろんでいた。だが、不測の事態に見舞われる。鶴岡さんのガスコンロは着火するが、炎は強風に煽られるうちに消えてしまう。記者のコンロにいたっては、ガスボンベと結合する金属部分が寒さで縮んだせいか、全くかみ合わない。数少ない癒やしのアイテムを失った2人はその後、ただ黙々と海へ向け竿を出し続けた。

釣り愛を披露 「釣れなくてもいい。野球と一緒。次のために準備をする」

 日の出は7時2分。前後1時間は朝マズメと呼ばれ魚の活性が上がる。釣果が伸びる大チャンスだが、ここでも大物ゲットの気配はない。厳しい時間を過ごし、記者は意を決して鶴岡さんに問いかけた。「釣りのどんなところが好きなのですか?」。

 鶴岡さんの返事は情熱に満ちあふれていた。「きょうこそはうまくいくと思って、釣れると思って行く。それまでの時間が良い。実際釣れなくてもいいんですよ。今度は釣ろうって思えるから。だから飽きないですよね。野球も一緒。きょうは打てると思って試合に臨む。打てなくても、次打つために準備をする。似ていますよね」。素人の記者に足を引っ張られても嫌な顔一つせず、さわやかに語ってくれた。

次回のリベンジを決意 「いろいろな場所へ行きたい」

 釣果はガヤが約10匹。満足感が全く得られなかっただけに、鶴岡さんはすぐさま次回開催でのリベンジを誓った。「カジカ、来ず。予想通りの展開だけど釣りは甘くないですね。それでも情熱はあります。北海道を巡って、オホーツクにも積丹にもいろいろな場所へ行きたい。僕らの情熱を見て、誰か「俺が釣らしてやるよ」っていう人がいれば、ぜひ一緒に行きたいです」。道内在住の釣り人の皆さま、ぜひ道新スポーツにご意見とご助言をお願いします。

※次回掲載は7日。鶴岡さんが釣りをしながら、球界屈指の釣り名人・伊藤大海投手とのエピソードを語ります。


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