大学・社会人野球
2022/12/21 00:00

≪人ほっとコーナー≫中大野球部コーチで日本ハム・五十幡らを育てた美馬健太さん(35)

中央大野球部のコーチを務める札幌市出身の美馬さん

JR北海道で現役を引退 目標だった指導者に

 母校・中央大野球部のコーチに就き、すでに6年が経過した美馬さん。「将来、指導者になることは目標だった。教職を持ってなかったので、学生野球は難しいかなと思ってたんですけど、(中大の)清水監督から声をかけていただいた」。

 JR北海道で現役を引退したのは29歳。「かなり悩んだ。ちょうど(JR北海道が)企業チームからクラブチームになる時で、たぶんチームが一番大変になる時。野手の中で最年長だったので、このタイミングでチームを離れるのはどうなんだろうと」。それでも指導者になりたい気持ちが勝り、コーチ就任を決断した。

「人間力の育成は、技術育成より最初は難しかった」

 北海高、中大と名門校で主将を経験していたが、指導者ではまた違った難しさに直面した。「人間力の育成、社会人になるための準備をさせる。大学4年間で野球を通じて、社会で通用する人間に教育できるかどうかみたいなところが、技術指導よりも最初は難しかった」。

 清水監督のブレーンとなることを意識している。「監督がどういうふうに考えてるんだろうって、まず僕が考えなきゃいけない。監督よりも先に行動を起こさなきゃいけない。監督はドシっとして、練習だったり、試合だったりを見て、指揮をしていかなきゃいけない。だから、監督がそういった面で出てきたら僕の負け」。

 また、4年生になると選手の熱量にも差が生まれてくる。「就職活動をするような4年生はチームから離れる時間が増える。就活してる人も、練習に来た時は『よっしゃ、今日は練習やるぞ』って目の色を変えてやってほしいけど、なかなかそうはならない」と悩みも口にした。

牧(DeNA)、五十幡(日本ハム)「2人ともすごい謙虚」

 現役時代も含め、プロ入りした選手と多く関わってきた。近年では牧(DeNA)や五十幡(日本ハム)が教え子となる。当時から能力の高い選手だったが、奢りは一切なかったという。「2人ともすごい謙虚なんですよ」と目を細める。

 すでにチームの主軸となった牧の活躍ぶりには「そこまで想像できなかったです」と目を丸くする。「何も人間は変わってない。大きくもなってないし、そういうところが嬉しいですよね。これだけ活躍しても、わざわざ来て挨拶してくれたりとか、そういうところがやっぱりちゃんとしてるんですよね」。

 今後も指導者として過ごしていくことが目標だ。「どんな形でも野球に携わっていたい」。熱血の道産子コーチが、中央球界で選手育成に尽力している。


■プロフィール 美馬健太 (みま・けんた) 1987年9月30日生まれ、札幌市出身。札幌市立西陵中時代は札幌西シニアに所属し、北海高に進学。主にポジションはショートで、3年時には主将を務める。甲子園出場はなし。中央大に進むと、3年時に副主将、4年時に主将となる。卒業後はJR北海道に入り、2016年限りで現役を引退した。翌17年に中央大でコーチ就任。175センチ、78キロ。右投げ右打ち。家族は妻と1男2女。

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい