ファイターズ
2021/10/01 14:59

侍・稲葉監督 大海にエール「今後も日の丸背負って」

退任会見で侍ジャパンでの活動を笑顔で振り返る稲葉篤紀監督

 伊藤よ、日の丸を背負い続けろ―。東京五輪で金メダルを獲得した野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督(49)が30日、任期満了となり、東京都内で退任会見を行った。快挙に大きく貢献したのが、ルーキーながらメンバー入りした日本ハム・伊藤大海投手(24)。指揮官は“道産子侍”の今後に、大きな期待を寄せた。

 侍ジャパンの、そして日本野球の未来を、稲葉監督は伊藤に託した。会見の質疑応答の中で、村上(ヤクルト)、栗林(広島)とともに名前を挙げ、「今後も日の丸を背負って戦う姿を楽しみにしたい。子どもたちの模範、憧れる選手、そういうものを目指してやっていただきたい」と日本ハムのドラ1右腕を激励。ともに戦い、ポテンシャルを肌で感じたからこそのエールだった。

 今春のキャンプから、指揮官は伊藤に熱視線を送ってきた。当初の五輪メンバーからは外れたが、辞退した菅野(巨人)らの代役として追加招集。他の選手に比べ実績は劣っていたが「あのスライダーは初見では打ちづらい」と実力を信頼し、中継ぎとして大事な場面で起用した。そして、右腕は見事その期待に応えてみせた。

 若手の成長は、野球文化の発展に直結する。稲葉監督は常々「1人でも多くの人が野球に興味をもってくれて、バットやボールを手にしてくれれば、これほどうれしいことはない」と、裾野拡大を意識してきた。伊藤に憧れ、野球と触れ合う子どもたちが増えることを、心から願っている。

 「五輪後、北海道で野球日本代表の帽子をかぶっている子を見かけた。これは本当にうれしかった。やってきて良かったなと、言葉にならない充実感があった」。

 子どもたちに、野球を好きになってもらいたい―。今後の活動は未定だが、野球人・稲葉篤紀にとって、大事なものはこれからも変わらない。(近藤裕介)

稲葉監督一問一答

 ―4年間、侍ジャパンを率いた
 「強化試合、練習試合、日米野球であったりプレミア12、そしてオリンピックと、たくさんの試合を経験させていただき、たくさんの選手と関わり、多くの方と出会い、本当にいろんな勉強をさせていただいた。全ての方に感謝しかないです」

 ―会見前には野村克也さんのお墓参りをされた
 「本当ならこのオリンピック、野村監督に見ていただきたかった、直接お会いして報告したかった、という思いはあったんですけど、金メダル取れました、ということと、感謝の気持ちを伝えさせていただきました」

 ―4年間で最も苦しかったことは
 「コロナで1年延期になったこと。なかなか選手とコミュニケーションを取ることができなかった。苦しかったというよりは難しかった、というところではありました」

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