ファイターズ
2022/08/06 22:50

新庄ビッグボス「申し訳ないです」ラオウに神謝罪 乱闘寸前もカリスマ性で空気変えた

責任はオレが取る! 杉本(右から2人目)に歩み寄り、目を見て体に触れて謝罪の言葉をかける新庄BIGBOSS(同3人目)

■日本ハム1ー3オリックス(6日、京セラドーム)

今季京セラDで8戦全敗 先発・田中が杉本に2打席連続死球

 殺気立っていた。先発の田中瑛斗投手(23)が三回、オリックスの杉本裕太郎外野手(31)に2度目の死球を与えた。「ラオウ」の異名を取る大砲は怒りをあらわにし、マウンドをにらみつけた。球場全体が騒然とする中、両軍ベンチから選手、コーチが飛び出し、怒号が飛び交った。

 一触即発の事態。ここで黒いマスクをしたビッグボスが静かに動き出した。落ち着いた足取りで一塁へ進み、杉本と向き合うと、左上腕に手を添え、目を見て語りかけた。試合中に監督が選手に直接謝罪する。超異例のシーンだった。

 最も驚いたのは杉本だ。目を丸くし、痛みを忘れたように笑みをこぼした。新庄監督にとっては特別な行動ではなかったという。「前回(7月19日)も当てているし。それはピッチャーの技術の問題。だからもう(一塁に)行って、申し訳ないですと。そうしたら(杉本が)『全然大丈夫っすよ』と。2回ぐらい言ってましたもん。『ビッグボスだ』って」

宗にも声かけ「ゴメンね、コントロール悪いから」

 引き揚げる際、次打者の宗にも声をかけた。「きのう(5日)危なかったからまた来るよと。ゴメンね、コントロールが悪いから」と助言。「(宗は)『大丈夫っす』と。笑かそうとはしてないんだけど、本当に危ないから」と細やかな気配りを見せた。

 警告試合が宣告されたが、誠意は伝わった。カリスマ性を発揮し、あわや乱闘の事態を〝円満解決〟に持ち込んだ。ただ、全てが丸く収まったわけではなかった。

 制球を乱した田中に「テンポが良くないね。工夫がない。いい打者にはインコースのシュートも投げないといけないんだけど、ぶつけるまでのコントロールのなさは良くない。ギリギリを攻める分にはいいけど、2回も当ててはいけない。そりゃ怒るよ」と苦言。今後について「次はないかな。もう一回鍛え直してもらって」と、2軍降格と再調整を示唆した。

 今季の京セラドームは8戦全敗で、対オリックスは5勝13敗と大きく負け越している。特に吉田正尚外野手(29)に打ち込まれており、日本ハム戦の打率は.448。天敵になっているが、勝負する方針は変えない。

 「逃げることはあまり好きじゃない。勝負にいって打たれても、今のチームは経験が一番の成長なので。どんどんどんどん経験して失敗して、成功して身につけてもらってね」。選手を大きく羽ばたかせるため、指揮官は痛みを伴う改革を断行していく。

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