ファイターズ
2022/07/16 06:00

《鶴岡慎也のツルのひと声》野村の挑戦が捕手陣の発奮材料に

12日、草薙球場の室内練習場で野村は座り込んでキャッチボール(撮影・桜田史宏)

配球への対応など攻守にメリットも、試合に出続けながらの負担大きい

 野村の捕手挑戦。BIGBOSSの新たな勝負手を聞き、真っ先に思い出したのが梨田政権下での出来事だ。当時、入団したばかりの中田翔を捕手へコンバート―という案が持ち上がった。

 捕手に必要な資質に肩の強さがある。中田もそうだったように、野村もそこはクリアされている。配球の組み立てに関しても、好打者なので高いレベルで投手をリードしていけると考える。

 ただ、それだけでは当然、務まらない。捕手としての「捕る」、「止める」、「投げる」の技術を身につけるには時間が必要だ。加えて投手からの信頼。短期間で得られるものでは決してない。BIGBOSSと球団がどのぐらい待ち、我慢できるのか。重要なのは時間だ。

 個人を考えれば、ブロッキングやハンドリング技術の向上、配球への対応など、挑戦することによるメリットは攻守ともに多い。だが、ただでさえ、体への負担が大きいポジション。野村は打者として4、5番を任せられる選手。試合に出続けながらの挑戦となれば、バランスの取り方が相当、難しい。その折り合いがネックとなる。

 ただ断言できるのは、BIGBOSSはチーム力向上、選手の成長を考え、あらゆる可能性を探っているということ。そして、今いる捕手陣が「そんなに甘くないぞ!」と発奮し、自分をさらに高めるきっかけにもなるはずだ。(本紙評論家)

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