ファイターズ
2022/06/10 23:50

上沢 カドックス投法でサヨナラ勝利を呼ぶ「全然、まだいける感じあったっす」

先発の上沢は9回1失点と好投し、エースの役割を果たした(撮影・桜田史宏)

■日本ハム2-1中日(10日、札幌ドーム)

普段はふざけあってる加藤と珍しく野球談義

 中日のエースで球界トップクラスの左腕・大野雄との投げ合いで、しびれる投手戦を繰り広げた。勝敗は付かなかったが、9回を投げきったエース上沢の表情はすがすがしかった。

 この日は、明確なテーマを持って臨んでいた。その名も「加藤貴之投法。カドックス投法です」。新庄ビッグボスが、100球未満で完封する「マダックス」をもじって「カドックス」と命名した加藤の投球を参考に、6割程度の力で投げる脱力投法にチャレンジした。

 数日前、交流戦で3試合を投げて無失点と無双中の左腕と交わした会話がヒントになった。「普段は2人で野球の話をしない。ひたすらふざけている」というが、その日は珍しく野球談義をすることに。テンポの良い投球と抜群のコントロールを誇る加藤に「どれくらいの力感で投げているんですか」と聞くと「6割くらいで投げている」と返ってきたという。

 前回登板3日の阪神戦(甲子園)では「初回から力入れすぎてバグった」ということもあり早速実践。1点リードの七回に「唯一の失投」というフォークを捉えられ、木下に右越え適時三塁打を浴びたが、勝ち越しは許さず。120球を超えた九回に150キロを計測するなど、最後まで球威が落ちることがなかった。

 投手コーチからは「代えることは考えてない」と告げられ、今季最長タイの9回124球を投げて4安打1失点。「きょうのピッチングは新しい感覚だった。体力的にしんどいとかなかった。全然、まだいける感じあったっす」と爽やかな笑みを浮かべた。

 今季は開幕から白星に恵まれず苦しんだが、5月7日の西武戦(ベルーナドーム)で今季初勝利をマーク。5月は4勝負けなし、防御率0.58と抜群の成績を残して、プロ11年目で月間MVPを初受賞した。心優しきエースは、同学年でともに千葉・松戸市出身の女房役・宇佐見のサポートに感謝する。

 賞金30万円の使い道については「宇佐見の協力もあるし、試合を考えてもらっているおかげで取れた。スタバ好きなのでスタバカードとスニーカーを買ってあげようかな」。宇佐見がこよなく愛するスターバックスコーヒーのプリペイドカードと、上沢がチョイスした靴をプレゼントする計画を立てている。

 息ピッタリのバッテリーで中日打線を最少失点で抑え、チームのサヨナラ勝ちを呼び込んだ。大きな手応えをつかみ、背番号15が交流戦最後の登板を締めくくった。

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