◇オープン戦  日本ハム１―１ヤクルト（３日、札幌ドーム）

　道産子左腕がまたも好投だ！　 日本ハムの２年目・根本悠楓投手（１８）が３日、ヤクルトとのオープン戦（札幌ドーム）に先発登板し、４回を２安打１失点に抑えた。初回に押し出し四球で１点を与えたが、二回以降は立ち直り、尻上がりの投球で試合をつくった。春季キャンプから、猛アピールを続ける１８歳。念願の先発ローテーション入りへ、まだまだ全力で突っ走る。試合は１―１で引き分けた。

　表情を変えずに投げる姿。そのたたずまいは、ベテランのようだった。本拠地初先発となった根本が４回２安打１失点と好投した。キャンプイン時は、開幕ローテを狙うダークホース的な存在だったが、この１カ月で立ち位置を変えた。

　一回は少しだけ１８歳らしい心の内をのぞかせた。初めての札幌ドームのマウンド。地に足が付いていなかった。「最初はちょっと緊張して、制球が良くなかった。（試合前の）ブルペンの時から球が抜け気味だったのは分かっていたんですけど、そこですぐ修正できなかった」。押し出しを含む３四球を与えるなど、あっさりと先制点を献上してしまった。

　しかし、二回以降は別人だった。高卒２年目らしからぬ、卓越した修正力を見せ、昨季日本一のツバメ打線をシャットアウト。スライダーでストライクが取れると判断し、配球の軸を切り替えた。そして、要所でキレのある直球を交え、相手打者にまともなスイングをさせなかった。

　圧巻だったのは三回。改良を加えたチェンジアップで山田から三振を奪うと、続く村上からはこの日最速の１４８キロ直球で連続三振。昨夏、東京五輪で侍ジャパンを金メダルに導いた強打者２人を“圧投”した。それでも根本は、浮かれる様子もなく「チェンジアップで三振を１つ取れたので、そこは良かったかなと思います」と淡々と振り返った。

　キャンプ中から、他球団の評価もうなぎ上りだ。日本ハムの春季キャンプを偵察に訪れていたオリックスの曽我部スコアラーは「このキャンプで一番早く目に付いた選手」と話していた。「まだ１試合しか見てないけど、真っすぐにキレがあって、まとまりもある。開幕ローテに入ってもおかしくない」と高卒２年目左腕への警戒を強めていた。

　開幕ローテ入りが注目される。それでも根本は「その意識はなくて、本当に１試合１試合投げていこうっていう感じです」と目の前の打者、試合に集中する。無欲な道産子左腕の快進撃が止まらない。