《人ほっとコーナー》ジャンプ女子日本代表トレーナーの澤山純華さん(29)
ジャンプ女子のトレーナーとして、夏の国際大会・グランプリに帯同した澤山トレーナー=撮影・西川薫
冬季五輪開幕まであと100日
2026年2月6日に開幕するミラノ・コルティナ冬季五輪。今月29日で4年に一度の祭典まであと100日となる。女子日本代表ジャンプ陣のトレーナーとして平取町出身の澤山純華さん(29、ABCラボ)が2大会ぶりのメダル獲得を狙う日本代表を強力サポートしている。9月20日には本番会場のイタリア・バルディフィエメで行われたプレ五輪に帯同し、
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あこがれの日本代表の一員として、順調に経験を積んでいる。昨季、初めて女子日本代表の海外遠征に参加。今夏のW杯と同じカテゴリのグランプリにも帯同した。正式発表はまだ先だが、プレ五輪も経験し、本番のスタッフ入りは確実だ。「日の丸を意識しすぎると緊張して、自分の仕事がちゃんとできないような気がするので、あえて考えすぎないように、自分のできることを100%以上やることに集中してます」。縁の下の力持ちとして、選手のサポートを最優先に考えている。

北海高、北翔大の女子バスケ部でフォワード
北海高校では女子バスケットボール部のフォワードとしてプレー。北翔大では国体メンバーにも選ばれた。「オリンピックに行きたいと大学時代から思っていた」。競技者ではなくとも帯同して行ける職業などを含めてインターネットでいろいろ調べ、22年北京まで五輪にトレーナーを5人派遣している竹花智さん(62)のジムにたどり着いた。竹花さん自身も五輪に帯同した経験があり、高校の先輩だったことも大きかった。当時、求人募集はしていなかったが、「面接してもらえませんか?」といきなりメールした。その熱意は伝わり、大学4年時には11月からの見習い期間を経て卒業してからの入社が決まった。
それまでジャンプ競技を直接見たこともなかったが、冬になると実業団のコーチを務める先輩トレーナーについて行ってジャンプ台に通う日々が始まった。「資格を取るのが昨シーズンの(24-25年)の世界選手権、W杯に間に合えば、もしかしたら(翌年の)ミラノオリンピックに行けるかもしれない」と5年ほどの計画を立てて鍼灸師の国家資格を取得。ここまでの計画は「怖いぐらい順調にいっている感じ」と振り返る。
海外遠征で果たすトレーナーの役割とは
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トレーナーと一口に言っても、海外遠征では何役もこなす。早いときは朝6時に起床して練習前のケアからスタート。午前中のジャンプ練習では、ジャッジタワーで選手の飛型をビデオ撮影。ランチ前後も選手のケアに追われ、午後からはチーム全体で現地のジムへ向かう。試合後ももちろん出場選手のケアを念入りに行う。選手別にカルテを作って状態を常に把握しながら、全て終わって就寝するのは時計の針が頂点を過ぎることも多いという。
仕事現場は毎回状況が違うが、「どんな場面でも自分のできることを見失わないようにしています。大きい大会になると緊張するだろうし、それがどれだけ大きい大会なのかも自分はスポーツをしていたから分かる。でも緊張したら考えられなくなってしまう気がするから、自分は一歩後ろに引いて、できることを最大限やる、と決めています」。師匠の竹花さんは「トレーニング指導の能力はかなり高い。選手やコーチからも信頼されていると連絡が来ている。現場の評価が高いので、自信を持って送り込める」と入社後の成長に目を細める。
澤山さん(左)は北海高の先輩で雪印スキー部出身の竹花オーナーの下で、鍼灸師兼トレーナーとして修業を積んだ
佐藤柚月がグランプリ初優勝「感動して泣きそうに」
選手と同世代で女性同士、競技以外の話題でもコミュニケーションを図る。「伊藤有希さんは、すごく気にかけてくれるので頼れるし(高梨)沙羅ちゃんや勢藤優花選手は同い年なので、話の波長が合う。それより若い丸山希、一戸くるみ、佐藤柚月は、エネルギッシュで、それで人懐っこいから、かわいらしいというか癒やされます」。なかでも佐藤は札幌日大高を卒業する昨春まで中学時代からトレーニングに通っており、今年9月のグランプリで初優勝したときは、「(間近で)表彰台に上がった姿は感動して泣きそうになりました。本当に仕事じゃなかったら泣いてました」とトレーナー冥利に尽きる経験をした。
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本番まで、あと3カ月と少し。忙しさも本格化する。「W杯最終戦で(日本勢)は4位が最高だったけど、この前のサマーグランプリは結構みんな表彰台に上がってきて、私が何かできたわけじゃないかもしれないけど、携わった人たちが良い成績を出せているのは、すごく感動もあり、うれしさもあり、やりがいをさらに感じた瞬間でした。緊張感がありましたけど、日本人選手が表彰台に乗れたので、オリンピック本番も楽しみです」。選手が実力を全て出し切り、少しでも良い結果を出すことができるように澤山さんは全力でサポートを続ける。
