【一問一答】加藤貴之 意地の108球完投「ここで全力を出さなかったらどうするんだ」
完投勝利に笑顔の加藤貴(左)=撮影・松本奈央
■セ・パ交流戦2回戦 ヤクルト2-8日本ハム(6月11日、エスコンフィールド北海道)
日本ハムの加藤貴之投手(33)が先発し、9回2失点で今季初の完投勝利を挙げた。味方の援護や好守に支えられ、投げ抜いた108球。ふがいなかった最近の投球を反省し、意地を見せつけた。ヒーローインタビュー、囲み取材の一問一答と加藤武治投手コーチ(47)の談話は以下の通り。
【ヒーローインタビュー】
―試合前の言葉通り、完投
「本当に、長いイニングを投げていなかったのは僕だけでしたし、きょう完投できて良かったです」

―投げ抜けた要因は
「2点目を取られた時に、またその裏に味方が点を取ってくれて、そこからスイッチというか、まだまだと思って。ちょっと心が折れかけていたんですけど、良かったです」
―レイエスのホームランも大きかったか
「はい、良かったです」
―長いイニングを投げる先発が多かった。どんな気持ちで
「自分自身、ちょっと情けないなというのもありましたし、難しいですけど、これは仕方ないので、自分で乗り越えるしかないので、きょう完投できたので、また次に向けて頑張りたいと思います」
自身今季初の完投勝利を飾った加藤貴=撮影・井上浩明
―ファンの存在は
「頼りになって、良い味方だと思っています」
―残りの交流戦に向けて
「またこういう試合ができるように、練習して頑張りたいと思っています」
【囲み取材】
―最後まで投げ抜く意識は強かったか
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「投げたいなと思っていましたし、今はホッとしています」
―投球内容を振り返って
「初回、1点は仕方ないのかなと思うんですけど、次の2点目は2アウトから簡単に取られてしまったので、そこはしっかりと反省したい。あとは(伏見)寅威さんの配球やいい守りがあったので、野手のおかげだと思います」

―ヒーローインタビューで2点目を失って心が折れかけたと。まだ2点のリードがあった。どんな心理状態だったか
「前回の試合もそうですけど、ここ最近の試合では取ってもらった後に取られて、ということが多かった。まだ序盤で、ゲームが動いている時だったので、またか…というか、自分に情けないなと」
―その後、粘って9回を投げきった。手応えを感じたのでは
「先発は多くて1年間で25、26試合ぐらい。野手、中継ぎは143試合、ベンチに入って。この1試合で僕はまた登板が空いてしまうので。ここで全力を出さなかったらどうするんだと思って。そういう気持ちもあって切り替えができたのかなと思います」
―期待に応えたいという思いか
「それもありましたし、ここ最近、長いイニングを投げることがなく、本当に情けないなと。その中で、きょうの完投というのは、自分の中でもいい結果だと思います。もう一度、自分を見つめ直すいい完投でした」

―九回まで投げるかどうか、試合中に相談があったか
「加藤コーチに言われました。点を取られたら代わると言われたので、何が何でも(抑えるつもりで)投げました」
―感触が良かった球種は
「全体を通してストライクがまとまっていたので。フォークは始め、落ちづらかったんですけど、中盤にかけて修正できたのかなと思います」
■加藤投手コーチ
「気持ち良く、七回、八回ぐらいまで抑えて、次に向かうやり方もあると思うんですけど、ずっと長いイニングを投げさせてきていなかったので、鬱憤(うっぷん)もたまっていたでしょう。本人に七回が終わって聞いたら、どっちでもいいですよ、みたいな感じだったんですけど、新庄監督の方からその声(完投させようという言葉)があったので、『1点取られたら代えるけど、行け!』とは言いました。6連戦が3週続くところで、少しでも(リリーフ陣の)負担を減らそうという気持ちで加藤はずっといるんですけど、ゲーム展開的に僕らが代えているというのはあると思う。きょうは僕の中でもあいつに長いイニングを投げさせたいというのもあったので、それがかなって、完投という形で終わったので、うれしかったです。俺(加藤コーチ)を見返したろ、みたいなものがたぶん、あったと思うので」