野村佑希 復帰戦で快音 離脱決断の裏にあった心の成長「言い方は悪いですけど…」
第2打席でヒットを打つ野村=撮影・近藤裕介
■イースタン・リーグ2回戦 ロッテ1-5日本ハム(6月1日、鎌ケ谷スタジアム)
上々の再出発 復帰戦で安打を記録
左脇腹の肉離れで離脱していた日本ハムの野村佑希内野手(24)が「4番・DH」で先発し、約2週間ぶりの実戦出場を果たした。
一回の第1打席は三ゴロ(失策で出塁)に倒れるも、三回の第2打席で左前打をマーク。2打席で交代となったが、復帰戦で即、結果を残し「(安打を)打たないよりは、打てることに超したことはない。(打席に)立った感覚は、そんなにずれもなく、打てたかなと思います」と納得の表情を浮かべた。
見据える1軍の舞台 反省も忘れない
晴天の日曜日。鎌ケ谷のスタンドを埋め尽くしたファンから大声援を浴びて、久しぶりの打席に向かった。凡退した1打席目は、豪快なフルスイングでけがの心配を払拭。2打席目には相手先発・広池に追い込まれながら、甘く入った変化球を捉えて左前に運んだ。
ただ、満足はしていない。「やっぱり1軍に行ったら、追い込まれた中で高めのフォークはなかなか来ない。その前の真っすぐをファウルにしてしまっているので、そういう反省できるところをしっかり反省した上で、自分の状態を上げていければなと思います」と気を引き締めた。
打席に備え、スイングする野村
開幕から不動の4番として奮闘も…
好事魔多しだ。今季は新庄監督に開幕から4番を任され、36試合に出場して打率.291、6本塁打、17打点と好調だったが、5月14日のオリックス戦で患部に違和感を覚えた。同日中に病院で診察を受け、 左内腹斜筋の肉離れと診断された。
冷静な判断 精神面でも成長
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深刻な負傷ではなく、無理をして試合に出続けることも不可能ではなかった。それでも野村は自らの意志で、〝早めの離脱〟を決断した。
「けがが多いというのは、1年目から分かっている。もちろん成績もそうですし、1軍でしっかり出られている中で外れるのは悔しい部分があります」と認めつつ、「我慢せずに。チームにも迷惑をかけるし、自分もこれ以上いったら、もっと悪くなると判断した上でやめました。何を得て、何を切り捨てるか、しっかり判断できるようになってきていると思う」と力を込めた。
プロ6年間の経験が力強い土台に
過去に何度も、けがでの離脱を経験している。気持ちが折れそうになったこともある。ただ今回、鎌ケ谷に戻った野村の表情に、悲壮感はなかった。苦しみ、もがいてきたプロでの6年間が、背番号5の心を成長させた。
「うまく割り切って考えられるようになったというのはあると思います。あまり過ぎたことは考えないようになったというか、言い方は悪いですけど、やってしまったものはしょうがないので。また一つ経験として、こういうタイミング、こういうトレーニング、こういう日程の時に、こういうけがをしやすいとか、こういう張り感の時にけがをしやすいというのを、自分の中でしっかり学習して、少しずつ、早めに(けがの予兆に)気付けたりとか、(離脱の)期間を短くしていきながら、次はもうやらないようにというのは意識しながらやりたいなと思います。やってしまったものはしょうがないですし、そこを悲観しても何も残らないので、戻った時にしっかりまた変わりなく入れるように、準備したいです」

生活の中心は復帰へのプログラム
離脱期間中は、ほぼ全ての時間を治療、リハビリ、トレーニングに費やした。
「朝は5時半に起きて、6時には家を出ます。鎌ケ谷で(リハビリを)やった後は治療をしてもらって、外部のトレーニングや治療をするところにもほぼ毎日、通っています。いろんな人が早く復帰できるように手助けしてくれているので、再発だけは避けたい。家に帰るのは(夜の)8時とか9時。そこからご飯を作って食べて、寝る。 基本的にはずっと治療なので、そこに時間とお金を費やしています」。1日でも早くエスコンフィールドに戻るため、日々全力を注いでいる。
仲間の躍動する姿は大きな刺激
1軍の試合は常にチェックしている。前日31日には仲の良い郡司がサヨナラ打を放つ活躍を見せ「(生活の)時間帯が違うので、迷惑になるかなと思って連絡はしていないですけど、ああいう結果、場所に一緒にいられない悔しさがある。早く(1軍に)戻りたいなと思います」と早期合流への思いを強くした。
誰もが待ちわびる1軍復帰
早めの離脱を決断したのも、リハビリに全力を注ぐのも、全てはチームを優勝に導くため。3日からはいよいよ、交流戦がスタートする。完全復活した4番を、みんなが待っている。