芸能
2025/03/10 17:00

『ユイカ』が新曲「おくすり」をPR 書き手としてインスパイアを受けているものとは

新曲「おくすり」をリリースした『ユイカ』=提供写真

二十歳となり顔出し解禁

 シンガーソングライターの『ユイカ』が道新スポーツ編集部をPRのために訪れた。これまでは顔を出さずに活動してきたが、今年1月12日に20歳となったタイミングで顔出しを解禁。2月5日には新曲「おくすり」をリリースした。9月からは全国Zeppツアーが予定されており、同7日にはZepp Sapporoでのライブも控えている。そんな勢いに乗るシンガーソングライターの素顔に迫った。

海外のチャートでも1位を獲得

 ティーン世代の真っすぐな恋心を描いた楽曲が、多くの若者の心に刺さっている。16歳のときにリリースした「好きだから。」はSNSなどを通じて注目を集めると、台湾や香港、ロシア、タイのSpotifyのバイラルチャートで1位を獲得。その後も学業や部活動などと併行しながら、シンガーソングライターとして多忙な日々を送ってきた。そして今年1月、二十歳の節目を機に顔出しして活動することを発表した。

 「やっぱり顔を出すことが最初はすごく不安だったんですけど、(ファンが)たくさん温かい言葉をくださった。今まで作り上げてきた『ユイカ』というものがあって、みんなそれぞれ理想の『ユイカ』を作り上げていたと思うんですけど、答えを見せちゃうと『イメージと違った』と思われるのがデメリットかなと正直思っていたんですけど、『想像通りだった』とか『思い描いたままの雰囲気だった』という風に言ってもらえて、すごく嬉しかったです」

人生初ライブで感銘

 昨年6月に行った1stライブ「Agapanthus」も顔出しのきっかけとなった。『ユイカ』にとっても「人生初めてのライブ」だったという。「人前で歌うのも初めてで、私の曲を聴いてくださっているお客さんを見るのも初めてだった。その人たちに面と向かって歌ったときに、目を見て歌うことはすごく大事だなと思った」と、生のライブならではのファンとの触れ合いに感銘を受けた。「プロとして、アーティストとして生きていきたい」。そう感じるには十分すぎる経験となった。

両親が薬剤師で身近なことを曲に

 「おくすり」は顔出し後、初めてリリースした楽曲となる。両親が薬剤師である『ユイカ』にとっては「小さい頃からすごく薬の話を聞いていたし、私にとって身近なものだったので、それを曲にすることはすごく自然だったし、私らしさが出ているのかな」と、同曲を制作することは〝使命〟だったのかもしれない。「あとはシンプルに風邪を引いていて、処方箋をもらって、お薬の袋をもらったときに、曲にしたら面白そうと思って『おくすり』を書きました」と屈託ない笑顔を見せた。

ツアーは雰囲気の違う曲もやりたい 入門編からアーティスト編へ

 9月からは札幌を皮切りとしたZeppツアーが控えている。「今までワンマンライブ自体は2回開催したんですけど、そのときは『ユイカ』入門編というか、私らしさを前面に出したいと思って、そういうセトリにもしていたんですけど、今回は今まで見せてこなかったような、私の描いてきた曲の中でもちょっと雰囲気の違う曲もやりたいし、『ユイカ』のアーティストっぽいところを見せられたらなと思っています」。

文章を書くのがすごく好き

 これまで多くの人の心を揺り動かしてきた楽曲は、まさに〝物語〟だ。10代のピュアな内面を描いているのはもちろん、聞き終えると、どこか読後感があるものが多い。「文章を書くのがすごく好きで、小学校のときから作文を書くのが好きだった」と話すように、書き手としての矜持を感じさせてくれる。

 「一番好きなのが小説の短編集。5分ぐらいでさらっと1話を読めるような細かい短編集が大好きです。やっぱり限られた文字数の中でいかに起承転結を描いて、きれいに余分なものを取り除きながら、いかに面白くするか。それって曲も一緒だなと思っていて、長くても5分の曲の限られた枠の中でどれだけ不必要な言葉をそぎ落として、ハッと思わせるか、この曲いいなと思わせるか、みたいなところが大事だなと思うので、そういうところからすごくインスパイアを受けてます」

 実際、昨年10月に完全受注生産限定の書籍型CDで発売した1stアルバム「紺色に憧れて」では「プロローグとエピローグみたいな感じでちょろっと書かせてもらいました」とニッコリ。「自分的に楽しかったので、機会があればまたやりたいです」と目を輝かせた。

天国に持っていきたい曲

 新しい一歩を踏み出した2025年、この追い風に乗っていく。「顔出しのニュースで初めて私のことを知ってくださった方がたくさんいらっしゃると思うので、今のこのチャンスを逃すまいと思って、みんなの目の届くところでいろいろ活動していきたい」と力を込めた。そして、その先の将来像も思い描いた。「ワンフレーズだけでもいいから、天国に持っていきたいと思ってもらえる曲を書きたい」。誰かの人生に大きな影響を与えられる、そんなシンガーソングライターを目指していく。


■プロフィール 『ユイカ』(ゆいか) 2005年1月12日生まれ。奈良県出身のシンガーソングライター。21年にTikTokに投稿した「好きだから。」がティーンから絶大な共感を生み、10代の2万人が選んだ〝恋したくなるラブソング〟1位にも選ばれるほど人気が急上昇。人気は日本にとどまらず、アジア各国のSpotify・バイラルチャートインを果たし、ヒット。青春の光景をリアルタイムで伝えるアーティストとして熱い注目を集めている。24年にメジャーデビューが決定し、6月に1stアルバム「紺色に憧れて」をリリース。同27日にKT Zepp Yokohamaで行われた『ユイカ』1stライブ「Agapanthus」のチケットは即完し、25年1月には2ndライブ「Sweet alyssum」を開催。6月には初の企画ライブが東京・豊洲PITで、9月には初の全国Zeppツアーの開催が決定している。

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