伊藤大海 同期で期待の育成右腕・松本遼大に伝えたこと 約2週間の合同自主トレを振り返る
ポーズを決め、写真に収まる〝チーム白井〟。前列左から時計回りに松本遼、伊藤、金村、根本=伊藤提供
自主トレ中の沖縄・名護で練習後に取材対応
日本ハムの伊藤大海投手(27)が29日、沖縄・名護で行われている先乗り自主トレに参加。練習後、道新スポーツデジタルの取材に応じ、エスコンフィールド北海道で行ったドラフト同期で育成の松本遼大投手(22)との合同自主トレを振り返った。
エース自らが声かけ 〝チーム白井〟で合同トレ
今月13日から2週間ほど、伊藤は5学年下の後輩右腕と練習を共にしていた。エース自らの提案だった。
「けがしなかったら十分、戦力になりうる選手。そこがもったいないなって声をかけました」。年明けの本拠地には白井康勝スカウトが担当した金村、根本もおり〝チーム白井〟として和やかムードで汗を流した。
負傷続きの長身右腕を憂慮
支配下昇格を目指す松本遼にレクチャーしたのは、自分を知ることだった。
「技術的なことはほとんどないです。やっぱり、けがが多かったじゃないですか。なんでそうなるのか詰めていきました」。188センチの長身を生かしたスケールの大きさが武器の右腕だが、度重なる故障に泣かされてきた。
1月13日、伊藤(左)との合同自主トレを開始した松本遼。初日から変化球の握りや回転についてアドバイスを受けた
説いた「気持ちのコントロール」 時にはブレーキも
昨年6月には右肩を負傷。「無理しているのか、歯止めがきかないのか分からないですけど。体ももちろん、気持ちのコントロールをちゃんとしないとやっていけないよ、とは言いました」
育成で入団し、今年で5年目のシーズンを迎える。後輩右腕の立場を考えると、その気持ちは痛いほど分かる。
「すごく投げたがるんですよ。だから焦る必要ないじゃんって。いろいろペース配分しながら、ボール投げることに関しては、僕が管理させてもらいました」
独り立ちを見据えた懇切丁寧なレクチャー
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伊藤が車で送り迎え。行きの車内では「きょう、肩どう?」「肘どう?」などと確認し、セッションを繰り返した。
「環境もそうですし、距離もそうですし、投げる投げないもそうですし、この後、自分で判断できるように。きょう、ここがこうなんですよね、じゃあ球数を抑えたらとか。自分で判断して、ストップかける練習をしました。基準をつくってあげたらやりやすいかなって」
1月14日、松本遼(右)とトレーニングを行う伊藤
疲れ果てて助手席で寝落ち
間近で接して、ポテンシャルの高さも再確認した。
「本当にいいボールを投げている。もったいないことだけなければ」。一方、練習後には、こんなかわいらしいエピソードもあった。「アイツは僕の車で寝ていました。まあ、僕も寝て良いよと言ったんですけどね。寝ないようには頑張っていましたけどね」。疲れ果てて、先輩の横で眠ってしまったこともあったという。
料理上手な夫人も献身サポート
球場の移動だけではなく、自宅に招いて食事面でもサポート。料理上手な夫人が協力してくれたそうで「頑張ってくれました。結構、まっちゃんも、体にいい反応があったみたいで。(夫婦で)支えましたよ」と、はにかんだ。
自身にもプラス 「すごく勉強になりました」
これまでオフは、単独で自主トレを行ってきた。後輩たちと練習することで、新たな発見もあった。
「自然にやっていたことを言語化する力もそうですし、伝えるという部分ではすごく勉強になりました。自分の言葉で伝えるのはすごく大事だなと思いました。自分の感覚だけではないので、相手の感覚も含めて教えるって難しい」

別れ際に送った粋で温かいメッセージ
伊藤は28日から名護での先乗り合同自主トレに合流。別れ際、松本遼にはこんなメッセージを送ったという。
「(新庄)監督じゃないですけど、頑張らなくてもいい。愉しむ…彼の立場ではちょっと違うのかなと思いますけど。けがなく大事にね、ってことは言いました」。昨季投手2冠に輝いたエースの言葉は優しさにあふれていた。
細川(左)と今川(右)に変化球の握りや回転などを教えた伊藤