ファイターズ
2024/05/10 18:20

《ハム番24時》5月10日

 

 意外なコメントを聞き、リアクションに戸惑った。10日は堀の26歳の誕生日。試合前に祝福の言葉を掛けると「ありがとうございます」と、はにかんだような笑みを浮かべてくれた。

 ただ、頬を緩めたのは一瞬だけ。すぐさま真顔に戻った左腕から「でも誕生日なんて、どうでもよくて…。全く気にしていないです」と、素っ気ない返事が戻って来た。

 7日に1軍昇格を果たした堀は、前カードのソフトバンク戦で今季初登板。1失点と精彩を欠いたパフォーマンスを、強く後悔している様子だった。

 「ルーキーの初登板ぐらい緊張してしまって、ずっとフワフワしていて、本当に投げられるのかな? っていう感じでした。途中でマウンドに来てくれたピンさん(石井)の話が、全然聞こえなかったんです」

 記者は、新人時代から堀を取材している。あどけない表情とは対照的なマウンド度胸、強心臓ぶりに何度も驚かされてきた。だから、聞き覚えのない『緊張』の2文字は、あまりに予想外なフレーズだった。

 ドラフト1位で入団し、2021年に最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。スターダムを駆け上がってきた男は、故障にも泣き、昨季は辛酸をなめた。「ずっと怖い物知らずで投げてきて、やってやるという思いが強かったけど、久々の1軍は緊張しちゃいましたね。ただ次の登板も、ある程度の緊張感を持って臨みたい。ルーキーみたいな感じで、頑張ります」。

 人は不安や怖さを知って、より成長すると言われる。年齢と経験を重ねた男の、華麗なる復活劇を心から願っています。

あわせて読みたい