《大海の部屋》vol.9　伊藤大海のオリジナル通信簿～２０２３年シーズンを振り返る

　日本ハム・伊藤大海投手（２６）の連載手記『大海の部屋』vol.9は、２０２３年シーズンを振り返ります。プロ３年目の今季は、２４試合に登板して７勝１０敗、防御率３・４６だった。野球からプライベートまで幅広い項目を〝通信簿形式〟で５段階評価した。

（連載手記『大海の部屋』は、北海道新聞の紙面でも要約版がお読みいただけます。今回は１０月１９日付の新聞に掲載します）

まずは本業のピッチング　自信を深めた落ちる球

　ピッチングはトータルで、前半「１」、後半「３」くらいです。ストレートの球速は去年より、ちょっと上がったけれど、もっと上げたい。バッターが一番、怖いのは真っすぐだと思うので、速いというより、強く投げられるようにしたいなと思います。

　変化球はスプリットが良かったです。課題だった落ちるボールの核を見つけられた。加藤（貴之）さんからヒントをもらって、迷ったらスライダーより、フォーク、スプリットと自信を持って投げられました。

リズムや間合いの大切さを実感　来季は遊び心をもっと

　投球フォームは２段モーションに戻したくらいから良かったけれど、最初は力任せに投げて、打者が打ちづらいボールを求められてなかった。こっちが気持ち良く、強く投げられても、バッターがタイミングを取りやすかったら意味がない。リズムや間合いだったり、先発で長いイニングを投げるためには大事だとあらためて感じました。

　僕の持ち味でもある遊び心は…。余裕なかったっすね。小学生の時から球が遅かったので、真っすぐを速く見せるためにスローボールを投げていました。たとえば超スローカーブを投げるのは勇気がいるけれど、怖い物知らずでいいのかなと思う。でも、今年は遊び心を出す場面をつくれなかったです。

待ってました！　６月の中日戦でプロ初安打

　守備面はクイックとか、まだまだ隙がたくさんあります。ランナーを背負った状況が多いので、間合いや、マウンドさばきはもっともっと勉強していかないといけない。クイックは単純に遅すぎるので、速さを求めていきたいです。

　バッティングの評価は高いです。６月１７日の中日戦で、ようやくプロ初安打が出ました！　３点ビハインドだったので、何とか塁に出ることを考えていました。結果は左中間への適時二塁打。今までの野球人生で、左ピッチャーから、あんなきれいに打ったことがなかったのでうれしかった。記念球は自宅に飾っています。

悔しい投手成績　「勝つチャンスを与えられるピッチングを」

　成績は悔しいですね。防御率が３点台なので、最低でも２点台がよかった。頑張ったなと思えるのは、イニング数くらい。１年間、けがなく先発ローテーションを守れたのはいいことだと思いますけど、ただ守るだけではない立場。チームに勝つチャンスを与えられるピッチングをもっと増やせたかなと思います。

心がけてきたファンサービス　実は登板日以外が狙い目！？

　今年からエスコンフィールド北海道に本拠地を移転し、ファンの皆さんとの距離が縮まりました。ファンサービスは心かげてきたつもりです。試合で投げる日はなかなかサインができないので、投げない日にお願いされたら書きたい。投げる日が一番、自分のファンが多いんでしょうけど、投げない日にタオルを持ってきてくれたら、お礼しなきゃと思います。

克服しつつある人見知り　「大人になってきたのかな」

　人見知り克服は、ワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）を終えてチームに戻ってからも、わりとできました。去年よりは後輩に「どんな感じだった」とか聞けるようになりましたし、気にかけてあげられるようになりました。根本もそうですし、金村とか。チームでは中堅くらいの年齢なので。ちょっとずつ大人になってきたのかな。

１人暮らし１年目　料理に掃除と合格点！

　昨オフに寮を出て、１人暮らしを始めました。料理は手際が良くなりましたよ。満遍なく作れるようになりましたし、試合前に僕は絶対、うどんを食べるんですけど、うどんがめちゃくちゃおいしくなりました。具材はシンプルに鶏肉とタマネギとか。関東風うどんです。今年はバランスよく食事を取っていたので、夏バテもなかったです。

　掃除もちゃんとやっています。部屋はきれいですし、いつでも人を呼べます。着なくなった服を捨てたり、断捨離もしました。