ファイターズ
2021/10/24 14:32

ドラ4ルーキー細川 朗希撃ちで存在感キラリ

先頭で迎えた三回、細川が佐々木朗の速球はじき返しチーム初安打を放つ

■日本ハム3ー4ロッテ(23日、ZOZOマリン)

 ルーキー細川、朗希撃ち! 日本ハムは23日、ロッテ(ZOZOマリン)と対戦。入団1年目の細川凌平内野手(19)が「7番・遊撃」で先発出場。球速豊かな相手先発の佐々木朗希投手(19)から見事にチーム初安打を放ち、敵地で存在感を示した。1軍戦はまだ5試合目だが、攻守にわたり非凡さが光っている。試合は3―3で迎えた九回、杉浦稔大投手(29)が四球と守備の乱れから無死満塁とされ、荻野貴司外野手(36)に適時打を浴び、サヨナラ負けを喫した。

6月右手手術で握力低下も過酷リハビリ乗り越え復活

 Bクラスが確定していても関係ない。高卒ルーキー細川が貪欲に持ち味をぶつけている。今季4度目のスタメン出場を果たすと三回、初顔合わせのロッテ・佐々木朗に牙をむいた。153キロ直球を中堅左にはじき返し、チーム初安打。首脳陣の抜てきに結果で応えた。
 怪物右腕の迫力に負けず、突破口を開いた。「すごいボールでしたし、初打席で仕留められたのは良かった」とうなずいたが、喜びは控えめだ。2打席目は決め球のフォークに空振り三振。「攻め方が変わりましたし、変化球は課題かなと。いろいろ経験しながら対応していければ」とシビアに自己分析していた。
 6月には右手有鈎(ゆうこう)骨の鈎切除術を受けた。8月下旬に2軍で実戦復帰したが、長期の治療、リハビリは過酷だった。「骨の痛みも強かったのですが、一番は握力が全然戻らなくて。特に小指側の神経がダメになっていました」。
 術後、55キロ前後だった右手の握力が20キロ台後半まで落ちた。1カ月間はバットを振れなかった。「リハビリの中で一番楽しかった」と振り返るのは、親指と小指だけを使ったテーブルゲームの「ジェンガ」だ。細長いブロックを2本の指だけで器用に抜いて、積み上げる。集中力も必要な作業で、感覚と握力は少しずつ回復した。
 手術から4カ月半で1軍の舞台にたどり着いた。早期回復の要因は周囲のサポートで「今は不自由なくプレーができている。リハビリの間に鍛えられて、成長できた部分もあるので、トレーナーのみなさんに感謝したい」と言葉をつないだ。
 チームの遊撃手争いは混沌(こんとん)としている。現在は実績のある中島、谷内が主戦力。故障するまでは石井が多くの出場機会を得ていた。2軍には守備に定評のある上野がいる。今秋のドラフトで3位指名を受けた水野(JR四国)は即戦力の呼び声が高い。
 当然、細川は自力で定位置をつかみ取るつもりだ。「一つ一つのプレー、1打席1打席、勝負していくだけだと思う。全力を尽くしていけたら」。ストイックに突き進む19歳の存在感は、確実に増している。(榎本真之)

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