芸能文化
2023/07/18 16:00

藤井聡太時代に待った! 道産子A級棋士・広瀬章人八段に迫る㊥

今回は広瀬章人八段の一日の過ごし方に迫る

打倒・天才を目指す一流棋士の一日の過ごし方

 将棋界は現在、一人の大天才を中心に回っている。藤井聡太七冠、20歳。しかし、そこに勇敢に立ち向かう北海道出身の棋士がいる。広瀬章人八段、36歳。昨年度は竜王戦で挑戦者となり、これまで7番勝負では4勝1敗が最低成績だった絶対王者に初めて2つ黒星をつけた。名人への挑戦権を争う順位戦では、最上位の10人しか戦えないA級に10期連続で在籍する。打倒・藤井の1番手集団にいる実力者に、今後の目標や対局までの過ごし方、2歳の子どもと過ごすプライベートまで、余すところなく話を聞いた。全3回連載の2回目は、一流棋士のタイムスケジュールに迫った。
 

駒の中で1番好きという角


家庭を持ちながら将棋と向き合う

 月に数回の対局日。持ち時間が長い棋戦では、午前中から深夜まで、もしくは2日がかりで熱戦を繰り広げることもある。広瀬八段は勝負の一日を、どのように過ごすのか。

 「持ち時間によっても変わるんですけど、午前10時開始のときは、7時に起きます。子どもが起きていないときは、先に自分の支度を整えて、ご飯を先に食べます。妻が8時すぎに子どもを保育園に送りに行くので、それまでは自分が子どもを見たりしています。朝ご飯はだいたい、パンと目玉焼きと野菜です。妻と子どもが家を出た後に自分も電車で対局に向かいます。9時ぐらいには将棋連盟の近くの喫茶店にいるようにしていますね。そこでは新聞を持っていって読みます。流し読み程度ですけど。ニュースを眺めながら、ぼんやり将棋のことを考えている感じです。だいたい9時45分までには将棋連盟に着いています。若手の頃は結構ギリギリについていたんですけどね。自分も18歳で棋士になったときは考えていなかったですけど、だんだんいろんなことを経験して、15分から20分前には着くようになりました」

対局後の食事会はクールダウンの場

 対局には勝敗がある。長時間に及ぶ頭脳戦の末、敗れたときの悔しさは想像もつかない。しかし意外にも、感想戦終了後は対局者同士で食事に行くこともあるという。

 「終わった後は一緒にどこかに行く人がいるかどうかによって変わってきますね。何なら、対戦相手と食事に行くこともありますし、観戦記者の方と行くこともあります。コロナ前はむしろ行くのが当たり前みたいな感じでした。クールダウンにもなるので、自分はどちらかというと行きたい派ですね。行きつけの飲み屋で。僕は全然お酒は飲めないんですけど、人によっては結構飲んでいますね。将棋の話はしない人が多くて、雑談ですね。将棋界の内部の話です。日付が変わる前には帰ります」

朝は詰め将棋から 「野球でいうキャッチボール」

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