芸能文化
2023/06/17 06:00

巨匠・倉本聰氏 35年ぶりの新作映画「海の沈黙」は「50~60年温めていた」

記者会見で「海の沈黙」の構想について語る倉本聰(中央右)(撮影・小田岳史)

1988年「海へ~See you~」以来

 脚本家・倉本聰氏(88)の新作映画「海の沈黙」は、1988年の「海へ~See you~」以来35年ぶりの映画となる。二つの事件を軸に描かれる大人のラブストーリー。「50~60年温めていた」という「美」がテーマの超大作に渾身のメッセージを込める。

きっかけは59年に起きた「永仁の壺事件」

 構想は「美」に対する疑問から始まった。きっかけは59年に起きた「永仁の壺事件」。永仁時代の壺が国の重要文化財に指定されていたが、陶芸家の加藤唐九郎による現代の作、つまり「贋作」であることがわかり重要文化財の指定から解除された事件だ。

 「非常にショックだった。昨日まで偉い人たちが『美しい、美しい』って言っていたものが、時代が変わっただけで間違っただけで重要文化財から外されるのかっていうことが非常に気になりました」。

画家・中川一政親子の会話からもヒント

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