Vリーグ
2023/04/09 22:45

ヴォレアスをV1へ導いたエド・クライン監督「関わってくれたみなさんに感謝したい」来季続投も決定的

試合後、笑顔で選手たちを出迎えるエド・クライン監督(左から3人目)=撮影・玉田順一

■V・チャレンジマッチ ヴォレアス3―1大分三好(4月9日、茨城・ひたちなか市総合運動公園体育館)

クラブ創設時から指揮 選手たちにポジティブマインド植え付け6年で悲願達成

 託されていた大きなミッションを、6年掛けて完了させた。ヴォレアス北海道が8、9日の大分三好との入れ替え戦で連勝し、V1昇格を成し遂げた。試合後のインタビューでエド・クライン監督(41)は「関わってくれたみなさんに感謝したい」と感謝を口にした。来季も指揮を執る意向を示しており、V1の舞台でも戦えるチームを構築する。

 クラブ創設時から監督として、チームを率いてきた。選手たちには、ポジティブなマインドを植え付けるため、メンタル面やリカバリー面を大切にする指導に重きを置いた。「日本の『まじめにやろうぜ』っていうスタイルがあまり好きじゃない。チームには楽しんで見ていただけるような努力をしてほしい」と話す。

 今季から加入したセッターの山岸隼(23)も大きな影響を受けた中の1人。「科学的な根拠のあることを言ってくれる。そういった面では自分がポジティブになれた。大学のときに悩んでいたミドル(ブロッカー)の使い方だったり、そういった部分はヴォレアスに来て改善された」。

試合形式の練習を多く取り入れ、メンバーを固定せずチームに一貫性持たせた

 チームを構築していく上での研究も欠かさない。今季はメンバーもガラッと変わった中でシーズンを戦ってきた。実力のある選手が揃ったとしても、すぐに強くなるわけではない。チームとして一貫性を持たせるためにメンバーを固定せず、試合形式の練習を多く取り入れた。NBAのシカゴ・ブルズなどを率いた名ヘッドコーチ、フィル・ジャクソン氏の著書も参考にした。「彼が言うにはチームをしっかりつくるには1年半の時間が必要。(チームを構築するのに)かなりの我慢、忍耐が必要になる」と目先の結果にとらわれることなく、チームを形成してきた。

大分三好の約20試合分の映像をチェック 前日8日にやられた相手エース対策もバッチリ

 戦略家として、試合分析も欠かさない。今回対戦した大分三好については、約20試合分の映像をチェックした。勝利した8日からの修正も怠らない。8日に両チーム最多の42得点を挙げた相手のイノック・モゲニ(25)を封じるため、ブロックの立つ位置など細かく指示。選手もしっかりと遂行し、この日は17得点まで抑えてみせた。うまく回っていなかったと感じたサーブローテーションにも変更を加えた。徹底した準備で悲願を成就。監督就任から6年、「これだけハードだとは予想してなかった」と笑みを浮かべた。

来季V1に向け「より競争力のあるチームをつくっていきたい」

 クラブはすでに昨年12月から来季の監督オファーを出しており、現在も交渉中だ。クライン監督も「V1に昇格しましたので、今辞めるのは変」と続投は決定的。「ヴォレアスの新しい章が始まりますけれども、より競争力のあるチームをつくっていきたい」。次なる舞台は、V1へと移る。クロアチア出身の指揮官の挑戦は終わらない。

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