冬季スポーツ
2023/01/20 22:00

小林陵侑3季ぶりの札幌大会で復活V「いきなり優勝。表彰台に登れてすごくうれしい」 男子ジャンプW杯

W杯今季初優勝を飾った小林陵侑(中央)

■W杯ジャンプ札幌大会(20日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
▽男子個人第14戦

「僕が勝って結構サプライズだと思います」

 澄み切った大倉山の空気を、日本のエースが熱くした。北京五輪男子ジャンプノーマルヒル金メダリストの小林陵侑(26、土屋ホーム)が、W杯今季初優勝を果たした。今シーズンの最高は昨年11月に行われた開幕戦(ポーランド・ヴィスワ)の7位。表彰台からも遠ざかっていただけに「みんなも僕が勝って結構サプライズだと思いますし、僕としても驚いている」と3季ぶりの自国開催となった〝凱旋試合〟に花を添えた。

 1回目135.5メートルで2位に付け、迎えた2回目。不利な追い風の条件でも130メートルを記録し、渾身のガッツポーズを見せた。その後に飛んだ1回目首位のダビド・クバツキは125.5メートル。7.2ポイント差を付けての逆転優勝となった。札幌の地で刻んだW杯通算28勝目を「(国内のW杯で)いきなり優勝っていう形で表彰台に登れてすごくうれしい」と喜んだ。

 2回目を飛ぶ前にテストジャンパーが飛ぶなど、スタートを待たされた。しかし「何であんなに待ったんだろうっていう奇跡。信号も味方してくれた」と笑い飛ばしたように、集中力が乱れることはなかった。飛型点も57.0の高得点と安定したジャンプを見せた。

 マテリアルコントロール(道具の検査)などが影響し、日本チームは男女ともに苦しんでいた。2020年のW杯札幌大会(大倉山ジャンプ競技場)で優勝経験がある佐藤幸椰(27、雪印メグミルク)もこの日は予選落ち。15日のSTVカップでは「日本チームとしてもチームの勢いはない。苦しいシーズンになっている」と話していた。

第13戦を欠場し、国内練習、スーツをフルモデルチェンジ

 小林陵も例外ではなかった。五輪金メダリストとして迎えた今シーズンだったが、W杯ランクは21位に低迷していた。調整に時間を費やすため、早めの帰国を選択肢し、個人第13戦(ポーランド・ザコパネ)を欠場。帰国後はジャンプを10本飛び、さらにスーツもフルモデルチェンジ。後半戦の巻き返しに向けたプランが見事にハマった。「(前半戦は)マテリアル的にも全然戦えてなかったですし、内容的にも安定してなかった。まとまって練習を確保できる札幌に早く戻ることを選べたのが、結果につながったかな」

 自身としても国内W杯初優勝。この1勝で終わらせるつもりはない。「あした(21日)はもうちょっとお客さんが入ると思うので、もうちょっと盛り上がった状態で飛べればうれしい」。蘇ったキングが、さらなる熱狂の渦に巻き込む。