冬季スポーツ
2023/01/07 21:00

勢藤が日本勢最高の9位 スキージャンプW杯女子

W杯今季自己最高の9位に入った勢藤(撮影・井上浩明)

■W杯ジャンプ女子札幌大会(7日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
▽個人第10戦

17試合ぶりシングルフィニッシュ「楽しみながら試合に臨むことできた」

 札幌では3年ぶりの開催で、日本勢はW杯組と開催国枠の12人が出場。上川町出身の勢藤優花(25、ヤマチューン)が今季自己最高の9位に食い込んだ。高梨沙羅(25、クラレ)は11位、伊藤有希(28、土屋ホーム)は15位。2回目に最長不倒の131メートルを飛んだカタリナ・アルトハウス(ドイツ)が今季3勝目を挙げた。初出場の中山和(下川商高3年)は1回目34位で、30位以内の2回目に進めなかった。8日も第11戦が行われる。

 勢藤が国内個人4連戦の初戦で日本勢最高順位。目標としていた表彰台には届かなかったが、表情は明るかった。1回目に117.5メートルで8位につけると、2回目は2段上がったゲートからK点越えの123.5メートルと飛距離を伸ばし、2022年1月のリュブノ(スロベニア)大会以来、17試合ぶりのシングルフィニッシュ。「良い状態で札幌に入れなかったけど、たくさんの方たちに応援してもらえてるのを感じながら飛ぶことができて、私自身も楽しみながら試合に臨むことができたので、今日の良い結果につながった」と声を弾ませた。

最終日へ「もっと遠くに飛べるイメージを」

 今季は新たな所属先で心機一転し、3年後の五輪へ向けてスタート切った。世界トップクラスの選手との違いを何度も映像で見返し、研究に研究を重ねた。「スタートできちんと乗り切れている選手がトップに立てている。今はスタートを重視してトレーニングをしていて、昨日と今日で継続しながらスタートを意識して滑れていた」。助走から飛び出しのスピードは2本とも上位に肉薄。さらに2回目は、出場選手中2番目に強い追い風0.81メートルの中、ロスの少ない我慢のフライトで、13.1ポイントの加点につなげた。

 今季の目標は「ワールドカップで表彰台に立つことと、世界選手権(2月)でメダルを獲ること」と明確だ。8日の札幌大会最終日へ「今日もヒルサイズを越えるイメージを持って飛んでいたので、明日(8日)も、もっと遠くに飛べるイメージを持って飛びたい」。トライ&エラーを繰り返し、また一つ自信を積み重ねた25歳が、とびっきりの笑顔で表彰台に上がる姿を、多くの地元ファンが待ち望んでいる。

 


〇…初出場の中山和 ほろ苦いデビュー戦だった。予選は101.5メートルをマークして31位で通過したが、1回目は97.5メートルと伸びなかった。「予選を通過できて良かった。(1回目は)ちょっと力んで飛んでしまったかな」と踏み切りのタイミングを外し、飛型点も48点だった。

 札幌市出身だが、上野幌小卒業時に将来の五輪出場を夢見て下川町へスキー留学した。2年前、下川商高1年時のTVh杯と伊藤杯ファイナルで社会人相手に2勝を挙げ、一躍ブレークした。今春の卒業後は、男子W杯代表の二階堂蓮(21)が所属する日本ビールへの就職が決まっている。「サポートしていただくので少しでも会社に良い影響を与えられたら」と、競技続行の環境を与えてくれた所属先に感謝する。

 開催国枠での出場のため、8日の個人第11戦の出場権はない。次戦は13日の山形・蔵王大会初戦が照準だ。「まだ少し時間があるので、自分のジャンプをできるだけ体現して、次は2本目を飛べるように。ポイントも取りたい」。来季へつなげる飛躍を期す。