斎藤友貴哉 「本当に待ち望んでいた日」 古巣・阪神戦で緊急登板も無失点リリーフ
四回を無失点に抑え、笑顔でベンチに戻る斎藤=撮影・村本典之
■セ・パ交流戦1回戦 阪神1-0日本ハム(6月3日、エスコンフィールド北海道)
スクランブル登板も1回⅔を無失点
日本ハムの斎藤友貴哉投手(30)が三回途中から2番手で緊急登板。十分な準備ができていない中でのマウンドとなったが、初対決の古巣・阪神打線に対して1回⅔を無失点で切り抜けた。
先発の古林がまさかの緊急降板
いきなり両リーグの首位チームが激突した交流戦の開幕戦。日本ハムは先発に古林を送り込んだが、試合序盤で思わぬアクシデントに見舞われた。
この日も常時150キロ前後を計測していたストレートが三回、1死後に1番の近本への3球目は142キロまで急減速した。続く中野に初球を投じた直後、続投を断念せざるを得ない状況に陥った。
三回途中で降板する古林
想定外も自信を持ってマウンドへ
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まだ誰もブルペンでの投球練習を行っていなかった中で、降りかかった想定外の出来事。大ピンチの中で、2番手として白羽の矢が立ったのが斎藤だった。
「電話が来て『ちょっと(肩を)つくってくれ』と言われて。体が温まっていなかったので、これで投げたらまずいと思って、一回全力でダッシュしました」
投球練習できたのは、ブルペン内での4球と、マウンド上での10球のみ。それでも「自分は結構、少ない球数でできるピッチャーなので」と、自信を持って阪神打線に向かった。1死二塁のピンチも、中野を1球で遊ゴロに打ち取ると、四球の後、佐藤輝を一ゴロに斬って取り、スコアボードに「0」を刻みつけた。

待ち望んでいたタイガース戦
3年間、待ち望んでいた阪神との対決だった。2022年オフに、阪神からトレードで日本ハムに加入。だが、23年は春季キャンプ初日に右膝前十字靱帯断裂を負い、登板機会なし。実戦復帰を果たした翌24年は、4月下旬に1軍昇格するも結果を出せず、交流戦を前に2軍へ逆戻り。4シーズン在籍していた古巣相手に、2年続けて右腕を振るうことができないでいた。
急きょの登板が奏功
そして加入3年目の今季、ついに1軍の選手として、阪神戦の日を迎えた。「本当に待ち望んでいた日。移籍して初めての古巣(相手)だったので、すごい楽しみにしていました。試合前の練習からすごい緊張していて、普段の感じとはまた違って。楽しみにしていた分、すごい緊張していましたね」
だが、思わぬ形での登板となったこともあって、いやが応でも打者との対戦に集中せざるを得ない状況となった。「(三回は)緊張することなく入れて。一人一人抑えるということを意識して投げました」。その分、回をまたいで続投した四回は「ある程度、緊張しましたね」と、その際の心境を口にする。
四回を無失点に抑え、ベンチに戻る斎藤=撮影・桜田史宏
憧れの藤川監督の前で好リリーフ
阪神の指揮を執る藤川監督は、リリーバーの理想に掲げる憧れの存在だ。その指揮官の目の前で、チームのピンチを救う好投を披露した。
「自分のやるべきことは、まずはできたかなと思います。ここ(1軍)に来られたのは自分としても成長ですし、またタイガース戦で、しびれる場面で投げたいなと思います」。残り2試合となった古巣対決で〝日本ハムの斎藤〟が阪神に土をつける力投を演じてみせる。