■春季教育リーグ　楽天０－１日本ハム（３月１３日、鎌ケ谷スタジアム）

最速１５２キロを計測

　悪夢は終わった。日本ハムの斎藤友貴哉投手（２９）が、約１年１カ月ぶりに実戦のマウンドに戻ってきた。先発で１回無安打無失点。四球を一つ出したが、直球は常時１５０キロを超え、最速１５２キロを計測した。何より、再び負傷することなく無事に復帰戦を終え、「緊張はあったんですけど、ワクワクする気持ちもありました。ここからまた始まったので、（支えてくれた人たちに）結果で恩返しできればなと思います」と笑顔を見せた。

昨季の失敗を踏まえ初球から集中

　昨年２月１日。紅白戦に登板し、初球で右膝前十字靱帯断裂の大けがを負った。もう、同じ失敗は繰り返せない。「しっかり１球目、準備できて投げられた」と初球から集中力を高め、快投につなげた。空振りこそなかったが、ファウルでカウントを稼ぎ、アウトは全て内野ゴロ。「しっかり（ストライク）ゾーンに投げられた。（完全復活への）準備段階としては、良かったと思います」と自身に及第点を与えつつ、「結果的にはゼロで抑えられたんですけど、課題も見つかりました。変化球のキレは、まだまだここから。バッターと対戦した中で感覚をつかめるように。次は空振りを取りたいです」と先を見据えた。

〝地味トレ〟で下半身強化

　リハビリ期間中は、下半身を鍛える〝地味トレ〟に励んだ。「膝のケガなので、下半身中心。ゴムを足に巻いて引っ張ったり、地味なトレーニングが多かった。地味トレが、ここからは効いてくるんじゃないかなと思います」。筋力を増やすため、卵などのタンパク質を多く摂取するなど、食事にも気を配って戦える体をつくりあげてきた。

日々の支えだった大事な時間

　試合で投げられない日々の支えになったのは、家族と過ごす時間。「家族で出かけたりするのが、すごいリフレッシュになったかなと思います。楽しいですね。これからも、家族との時間を大切にしたい。今度、息子が６歳の誕生日なので、どこかに出かけたいなと思います」と、優しいパパの顔を見せる。

パパと吾郎、どっちがすごい？

　愛息は人気アニメ「メジャー」の影響で、野球に興味を持ち始めた。「野球ボールがほしいと言っているので、買ってあげようかな。メジャーの影響で、（主人公の）吾郎くん吾郎くんって言ってますね。『パパと吾郎くん、どっちがすごい？』って聞かれるので、パパの方がすごいよとは言っています（笑）」

アニメのようなストーリーを

　実戦復帰はまだ、リハビリの過程だ。鎌ケ谷ではなく、エスコンフィールドで投げて初めて、完全復活を果たしたことになる。「いろんな方の支えがあって、マウンドに立てた。まだリハビリ管轄なので、そこを抜けて、早くエスコンで輝いている姿を見せたいです」。大けがを乗り越えて大投手になるメジャーの吾郎のように、斎藤友貴哉のサクセスストーリーはここから急加速する。