ファイターズ
2021/11/05 14:59

新庄新監督「優勝なんか目指しません」異例づくしの就任会見

これからはパ・リーグではありません。新庄剛志です! 就任会見に臨んだ新庄監督は、チームとプロ野球を変え、世界一を目指すと熱弁(撮影・桜田史宏)

僕が日本ハムを、プロ野球を変えていく―

 第2章「BIGBOSS SHINJO」劇場、開幕―。日本ハムの新庄剛志新監督(49)が4日、札幌市内のホテルで就任会見を行った。契約年数は1年で年俸1億円。報道陣は35社119人が集まり、テレビカメラ約20台が並んだ。地上波のワイドショーでも生中継され、日本中の注目を集めた会見で「優勝なんか一切目指しません」と宣言。背番号1を付けることもぶっちゃけるなど、異例づくしの就任会見となった。(金額は推定)

気になる背番号「僕が1番つけまーす!」

 新庄監督が言葉を発した瞬間から、会見場は劇場と化した。「1946年、今から75年前、横沢監督、第1代目。そこから21人目の栗山監督。その次に22代目の監督として選ばれたことが非常にうれしく、また選手兼監督という形で契約を結んでもらいました」との第一声に、川村球団社長が反応。すぐさま否定され、「監督だけでした」と笑った。
 こうなると、独壇場だ。ワインレッドのド派手なスーツ姿で「監督らしく、きょうはビシッと、監督っぽい格好で来ました。これからは、顔を変えずにチームを変えていきたいと思います」と自虐的なコメントを発し、会場は笑いに包まれた。
 全てが予想の斜め上をいく発言だった。呼称についても「監督って皆さん言わないでください。『BIGBOSS』(ビッグボス)でお願いします。選手も」と、インドネシア・バリ島で周囲から呼ばれていたニックネームを要望した。
 球団からは常に優勝を争えるチームづくりを託されたが、「優勝なんか一切目指しません」とまさかの宣言も飛び出した。その真意を「一日一日、地味な練習を積み重ねて、勝ちました、勝った、勝った、勝った。それで、9月辺りで優勝争いをしていたら『さあ、優勝目指そう!』って。そういうチームにしていきたい」と力説。目前の試合を大事にし、大きな目標に対する重圧を緩和していく方針だ。
 注目の背番号についても、あっさりと明かした。自身が現役時代に背負い、スター番号ともされる「1」は空き番号。「やっぱり主役は選手、スター候補を僕が育てて、その子に1番をつけてもらいたいと思っている」と話したが、直後に「その子たちが育ってくれるまでは、僕が1番つけまーす! ありがとうございまーす! 僕が目立ちまーす!」と、勢いよく左手を挙げた。
 昨年12球団合同トライアウトを受けた際には夢破れたが、すぐに新たな目標を設定した。日本球界から離れていた時間を取り戻すべく、野球を学び直した。そして、10月12日。後任監督のオファーを受け「(受諾するまで)1秒。お願いします! やります!」と即答したという。
 「僕でいいのかなという思いの半面、僕しかいないな、と。日本ハムを変えていきますし、僕がプロ野球を変えていきたい」
 日米4球団で培った経験は大きな武器となる。「暴れまっせ! ホンマに! 楽しみにしておいてください。こうご期待」。野球の概念を打ち破っていく「BIGBOSS SHINJO」の誕生だ。(十島功)

ファンサービスもプラン続々

 球団からはもう一つ、大きなテーマを託されている。ファンサービスだ。現役時代にも、さまざまなパフォーマンスでファンを喜ばせてきた。今も頭の中に多くのプランを描いている。
 「できたら試合中に(SNSの)インスタライブとかさせてもらったら最高かな」や、「(札幌ドームの)天井から下りたいなとは思う。しかも、俺だけじゃなく、選手も一緒にね」、「個人的には今のユニホームはあまり好きではない。皆さんも新しいユニホームを期待してくれればと思う」などと、ユニホーム変更にまで言及した。
 これらの案は全てファンを喜ばせるため。「ファンの力はものすごく大事。北海道の場所が、日本ハムと一緒に生活をしていけたら最高。一人一人の笑顔を少しずつ増やしていけたらうれしいです」と白い歯を見せた。

■プロフィール

新庄 剛志 (しんじょう・つよし) 1972年1月28日生まれ。福岡県出身。福岡・西日本短大付高から90年にドラフト5位で阪神入団。俊足、強肩の外野手として活躍し、フリーエージェント(FA)で01年に米大リーグ、メッツに移籍。ジャイアンツに移った02年にワールドシリーズに日本選手で初出場した。04年に日本ハムで日本球界に復帰して06年にリーグ優勝と日本一を達成し現役引退。ゴールデングラブ賞に10度、ベストナインには3度選出された。

 ◆川村浩二球団社長兼オーナー代行 「強いファイターズを復活させていただけると信じております。新庄監督の下、選手が躍動感のあるプレーを見せる。そういったことを楽しみに、また球場に足を運んでいただけると願っております」

 ◆畑佳秀オーナー 「私も胸が躍ったり、ドキドキハラハラしています。まずはファンの皆さんが次も試合を見たい、また球場に行ってみたい、そう思えるようなファイターズにしてほしい」

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