コンサドーレ
2023/11/30 18:00

札幌三上大勝GM特別インタビュー【小野伸二がくれたもの】②プロフェッショナルを背中で伝えてくれた

2021年2月27日、札幌ドームで行われた横浜FCとの開幕戦に出場したMF小野(右)を労う三上GM

 北海道コンサドーレ札幌MF小野伸二(44)の現役ラストゲームとなる浦和戦(12月3日、札幌ドーム)に合わせ、道新スポーツでは札幌を運営する(株)コンサドーレの三上大勝代表取締役GM(52)に単独インタビューを実施。第2回は、札幌がJ1昇格や定着する中で小野が果たした役割、そして2019年琉球移籍と21年札幌復帰の舞台裏を尋ねた。(聞き手・工藤友揮)

 14年から札幌の一員として新たなキャリアを歩み出した小野。14年はリーグ戦7試合に出場。翌15年は17試合に出場し移籍後初ゴールを含む2得点をマークした。そして札幌3年目の16年にJ1昇格を達成。出場機会こそ多くなかったものの、小野がチームにもたらした影響はとても大きかった。

2015年10月10日、J2金沢との試合で2戦連発となる得点を決めたMF小野(手前中央)がゴール裏の札幌サポーターの前で祝福される

 

加入当時、アカデミー出身者が多く在籍

―16年にチームはJ2優勝、J1昇格を達成した。同年の小野は15試合の出場にとどまったが、当時の野々村社長は「稲本選手と共に月曜から金曜までのトレーニングでプロとしての姿勢を見せてくれる選手だ」と評価していたのを覚えている
 加入する時の経緯で彼にも話したことですけど、当時のうちのチームの選手はアカデミーから出てきた若い選手が非常に多かったんです。そこから自分たちが価値あるプレーヤーになるためには、プロとしての振る舞い、準備、さらに自分たちがどうしてこうやって活動できるかを理解した上でやっていくことが成長につながると思っていた。

2017年9月27日の誕生日の練習で笑顔を見せるMF小野(中央)

 

練習前の準備、パフォーマンス、練習後のケア、人との接し方

 僕の役割として、そういうことを若い当時の選手、在籍した選手に口頭で「こういうことを考えた方がいいと思うよ」「こういうことがあるから、この選手って今こういうふうにしていると思うよ」「自分が現役の時はそういう考えができなかったから、自分は今、後悔している」という話をずっとしてきたけど、僕が365日そういう話を選手にするよりも、伸二が来てくれて練習前の準備、練習でのパフォーマンス、練習終了後のケア、そしてファン・サポーターとの接し方、パートナー企業との接し方、メディアとの接し方、そういうことを背中で見た方が、より選手としては分かりやすいんじゃないかなと思っていた。そういった部分、プロフェッショナルの部分も彼に期待していたけど、彼はそれを意識することなくできる選手、人間だったので、本当に彼の背中があることによって僕が365日話をするよりよっぽどスピード感が上がったなと実感しています。

2018年6月23日、サポーターズデーでMF荒野(手前左)とサインするMF小野

 

攻撃的スタイルの構築、戦術理解のスピード感が上がった

 一方、オンザピッチでは『北海道とともに、世界へ』を考えたときに、攻撃的なチームをつくっていきたいと考えていて。例えば当時の監督、コーチが「こういう攻撃をしたいんだ」「こういう攻撃的なスタイルにしたいんだ」と海外チームの映像を見せていて。「じゃあ、この攻撃のコンビネーションってどうやってやるの?」となったときに、伸二は映像を見た後すぐにそのプレーを宮の沢のグラウンドで見せてくれるわけです。チームの戦術、攻撃的なスタイルを構築するための浸透度のスピードが、映像を見て「あ、こんな感じなんだな」と思うよりも、さらにそこから具現化して「これなんだ」と目の前で見せてくれた小野伸二という存在のおかげで、チームのスタイルの構築、戦術の理解度、そういったものがスピード感を持って実施できたなと思っています。

もう一度サッカー少年に戻ってみたいと

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