勝ちに飢えた松本剛が来季へ始動 「CSは見たくない」 仲良し同期とのやり取りで悔しさ痛感
オーバーホール終了 鎌ケ谷の2軍施設で練習再開
クライマックスシリーズ(CS)が開幕した14日、日本ハムの松本剛外野手(30)が千葉・鎌ケ谷で体を動かし始めた。5日にシーズンを終え、気持ちはすぐに来季へ向かっていた。それでもあえて短い休みを取ったのは、酷使してきた体のためだ。
「気持ちは切り替わっているんですけど、体を休めた方がいいかなと思ったので。(今季痛めた)アキレス腱(けん)がずっと良くなかった。あんまり治ったっていう感じになれなかったのが正直なところ。どうやって体の動作を戻すか、これから見つめ直さなきゃいけない」
早すぎるオフに募る悔しさ 主力の意地と責任感
チームの絶対的主力として1年間、走り抜いた。激務の疲れを癒やしながら胸にこみ上げたのは、責任感を持って戦ったからこその悔しさだ。「CSなんて、見たくないもん。悔しくて。この時期、暇している自分に『あー』みたいな感じを(休んでいた)1週間ずっと感じていました」と胸の内を明かした。
同期組のH近藤とM石川慎にエールを送るが…
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仲が良い入団同期でつくっているLINEグループがある。メンバーはチームメートの上沢、ソフトバンクの近藤、ロッテの石川慎。「2人(近藤と石川慎)には『(ポストシーズン)頑張れよ』って言わないといけない。僕たちは『お疲れ』だから。また一緒に戦いたかった」。言葉を交わし、嫌でも自分たちが負けたことを痛感させられた。
優勝から遠ざかること7シーズン 膨らむ危機感
勝ちたい―。その思いは日増しに強くなっている。「やっぱり勝ちたい。僕はそれをすごく思っている。今まで、負ける野球をやってきていないので。勝つ野球しかやってきていないので。それがここ数年、結果的に負ける野球が増えてきてしまっている」と危機感を募らせている。
すべては勝つため 選手会長の続投を決意
来季も選手会長は続投する予定だ。「やらせてもらえることは、ありがたいこと。すごい良い経験をさせてもらっている。今後の人生に生きてくると思います」。責任ある立場で勝つことに、大きな意味を感じている。「責任って感じるのも感じないのも自分次第かもしれないですけど、感じてやる野球と、何も感じないでやる野球は違う。その責任を感じた上で、優勝している人はすごいなって思いますし、格好いいなって純粋に思う。新庄監督も(現役時代に)その責任、重圧を押しのけて結果を出して優勝している。そうなりたいなってすごい思うので、頑張るしかない」と力を込めた。
必要なのは個々の意識改革
勝つ可能性が少しでも高まるなら、嫌われ役も買って出る。「自分はまだ、えらそうなことを言えるレベルじゃない」と考えているが、「僕の記事を見ているか分からないですけど、見た時に少しでも試合に出ている選手が何か思ってくれれば、ちょっとでも意識が変わるのかなとか、ちょっとしたことでもあると思うので」と、批判を覚悟で後輩たちにゲキを飛ばす。
「やっぱり個々の意識がもっと高くならないといけないなと思います。若くてもレギュラーを張って試合に出ているなら、いきなり責任を持てというのはおかしな話かもしれないけど、上の人間が少ないので、もっと自覚もってやらないと。少なからず、そういう選手が増えないと。僕も含めて、勝つためにどうしたらいいか、勝つために自分をどう生かせるか、考えるべきだと思う」
今季打率はリーグ5位の・276 「3割打たないと」
言うからには、誰よりも結果を残さなければいけないことも自覚している。今季の打率はリーグ5位の・276。それでも一切、納得していない。「やっぱり3割打たないと僕みたいなタイプは使ってもらえない。そこは必ず達成できると思っていますし、達成したい。個人的にはバッティングで、今年の夏前くらいから違和感がずっとあるので、そこを見つめ直して、来季もう一回いい形でと思っています」と高みを見ている。
チームを引っ張り、来季狙うはリーグ最多安打
目標にしてきた「最多安打」のタイトルは、ソフトバンク・柳田に獲られた。同い年の近藤は本塁打、打点、出塁率でトップだった。「やっぱりすごいですよ、あの人たちは。レベルが違う。ちょっと別格というか、まだまだ足元にも及ばない。タイプは違いますけど、少しでも近づきたい」。1本でも多く安打を放つという目標は、来季も変わらない。まずは体を整え、大きな責任を背負い、勝利に飢えた30歳は背中で若いチームを引っ張っていく。