サッカー
2023/09/24 20:00

BTOP北海道が2年連続JFL参入挑戦権獲得 元札幌のDF濱大耀主将が後半に同点弾【北海道サッカーリーグ】

逆転優勝を決めたBTOP北海道のDF濱大耀主将(中央右)が優勝カップを掲げる(撮影・西川薫)

■北海道サッカーリーグ 最終日(9月24日、岩見沢市岡山スポーツフィールドほか)
 BTOP北海道4-3北海道十勝スカイアース

前節まで勝ち点3差の2位

 勝ち点3差で2位のBTOP北海道が、首位・北海道十勝スカイア-スに4-3で勝利し、勝ち点で並んだが得失点差で上回り2連覇を達成した。前半に逆転を許したが、2-3の後半14分に今季新加入した元北海道コンサドーレ札幌のDF濱大耀主将(25)のヘディング弾で同点に追いつくと、同21分にFW阿部遼海(22)が決勝ゴールをたたき込んだ。BTOPは11月に行われる全国地域チャンピオンズリーグ(CL)への出場権を獲得した。

終了間際には退場者2人

 BTOPは、1点リードした試合終盤に2人の退場者を出しスカイアースの猛攻を受けたが、辛くも王者の座を守りきった。1人少なくなった後半アディショナルタイムに遅延行為で2度目のイエローカードを受け退場した濱主将は「すごいうれしい。物語的にも逆転優勝、逆転勝利じゃないですか。道リーグでは、お互いのサポーターが見に来てくれて盛り上げてくれた中で勝利を収められた、優勝できたことは僕のサッカー人生の中でもすごいうれしい瞬間」と声を弾ませた。

先制点は濱主将のロングスローから

 白星しか許されない直接対決。開始早々の前半2分、1週間準備してきた〝飛び道具〟がさく裂した。相手陣右サイドから濱主将がロングスローをゴール前に送ると、ゴール前の混戦からリーグ得点王を独走するMF本塚聖也(25)が左足を振り抜き先制した。濱は「(磯部監督から)ロングスロー投げれる人おるんか?みたいな話になって。一応投げれるは投げれるんで。やったらやってみようかっていうので、先週の夕張遠征でみんなで確認して。ロングスローって入ったらラッキーみたいなとこあるじゃないですか。明確な狙いっていうよりは、投げて押し込めみたいな」。狙いはずばり的中。先制点を〝アシスト〟した。
 

前半、BTOPのDF濱大耀が、ロングスローを繰り出す

 

その後、3連続失点

 幸先良いスタートだったが、今季全勝のスカイアースの猛反撃に逆転を許した。同10分にDF濱主将が裏を破られ同点に追いつかれると、同15分、21分と立て続けに3失点。同30分にFW阿部のゴールで1点を返し、2-3で前半を折りかえした。「1点目は簡単に僕が背後取られてそのまま決められた。あれがなければもっとテンポ良く、自分たちが(主導権を)握った状態で前半を終えられた」と猛省。後半で修正を施した。

逆転Vまで「あと2点」

 逆転優勝へ、最低2得点が必要なBTOP。後半14分に、右CKからニアに飛んだ濱主将のヘディングで同点に追いついた。「チームとしてデザインしてたセットプレーだった。その流れ通り全体が動いて、あとはちゃんと決めるってだけだった」と涼しげに振り返った。

FW阿部が決勝点「うれしすぎて覚えていない」

 主将の一発で、勢いづくと、最後はFW阿部がこの試合2得点目となる、値千金の決勝ゴール。「うれしすぎて、あまり覚えていない。後期に入ってから調子を落として、得点も1点とか取れない試合が多かった。その中でも監督が信じて使って育ててくれたので、最終節に2点を取って、チームをそして監督を助けられたことがほんとにうれしいです」と笑顔を弾かせた。
 

後半21分、決勝点を決めるBTOPのFW阿部(右から2人目)

 

天皇杯でJ1湘南に挑戦してから意識変化

 初出場した6月の天皇杯2回戦のJ1湘南戦。1-6で敗戦も大きな経験を得た。今季から指揮を執る磯部和彦監督(29)は「あのスタジアムであのサポーターでJ1相手で、若い選手たちはかなり刺激をもらった。Jリーグ、JFLに行けなかった選手たちを預かってるので、勝ち負けもそうですけど、そこに来年、送り出してあげられるようなチーム作りをしていた。湘南戦は本当にありがたかった。あれがなかったら、もう少しチーム作りは遅れたり、ギアが上がらなかった」。目標とするJ1でプレーするクラブと対戦し、選手1人1人の意識に変化が現れた。

濱主将は膝にケガを抱えながらの出場

 濱主将は左膝に爆弾を抱えたままプレーする。J3富山に期限付き移籍中の2021年11月に左膝膝蓋腱(しつがいけん)を断裂。全治8カ月の大けがを負った。さらに22年7月にも同じ箇所を2度目の手術。同年11月に札幌を契約満了となり「ここが潮時かな」と引退も視野に入れたが「コンサドーレに選手として恩返ししてない分、何かしらの形で貢献したい」と、小学生以下のスクールコーチのオファーを受け、選手としても活動を続けている。膝の回復具合は、今春の時点では2、3割だったが、今では「6、7割」まで回復。入念なケアを施しながら試合に臨んでいる。
 

今春、BTOPに加入した元札幌DF濱大耀(奥)

 

昨年の全国地域CLは3戦全敗

 JFL昇格に再び挑む。全国地域CL初出場の22年は1次ラウンド3戦全敗。勝ち点0で決勝ラウンドに進むことはできなかった。濱主将は「そこで勝てなかったら、この道リーグ優勝も僕らの中では意味のないものになってしまうと思う。準備する時間もちゃんとあるし、今のチームで勝てる力もあると思う。残りの時間しっかり挑んで、最後に笑って終えるようにやりたい」。昨季の苦い思い出を今年こそ塗り替える。


◆JFL昇格までの道のり

強敵集う狭き門、未だ北海道から昇格なし

①全国地域チャンピオンズリーグ1次ラウンド(11月10日から12日、 みやぎ生協めぐみ野サッカー場ほか )
 全国9地域のリーグ戦1位と、全国社会人選手権上位3チームの合計12クラブが出場。3グループに分かれリーグ戦を実施(※組み合わせ抽選は10月28日)。各グループ1位と2位の3クラブ中で最上位(勝点、得失点差、総得点数、反則ポイント、抽選の順)の計4チームが決勝ラウンドに進出する。

②同決勝ラウンド(11月22日、24日、26日、 栃木県グリーンスタジアム )
 4チームのリーグ戦を行い、1位がJFL自動昇格、2位がJFL15位と入れ替え戦を行う。

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