高校野球
2023/07/17 21:30

帯広農業が最大6点リードを逆転負け 干場雄心主将「最高の仲間と最後まで野球ができた」【北北海道大会】

クラークに敗戦し、涙ながらにクラークの校歌を聴く帯農ナイン(撮影・金本綾子)

■全国高校選手権北北海道大会第4日(7月17日、旭川スタルヒン球場)
▽2回戦 クラーク11-10帯広農業

両チーム合計33安打

 道大会記録を更新する両チーム合計33安打が飛び出した激闘。2年ぶりの甲子園出場を目指す帯広農業は序盤にあった最大6点のリードから逆転負けを喫した。二回に先頭の4番・干場雄心主将(3年)が敵失で出塁し2点を先制。三回表終了時点で6点リードも、クラークの3者連続を含む4本のアーチなど20安打の猛攻に力尽きた。

九回1死一、三塁まで追い詰めたが

 今大会最長となる3時間13分。1点を追う九回、先頭の干場主将は左飛に倒れたが、続く5番・山下竜玖遊撃手(2年)、渋谷純希右翼手(2年)の連続安打で1死一、三塁。一打同点の好機を作ったが、2安打と当たっていた7番・阿彦龍汰二塁手(3年)が二ゴロ併殺に打ち取られゲームセット。干場主将は「最後、自分が先頭でヒットで出れなくて本当に申し訳ない気持ちと、後ろを2年生がしっかり繋いでくれた。秋から頼りないキャプテンだったと思うけど、しっかりついてきてくれた。あと一歩まで行けたので、来年しっかり甲子園に行ってくれるように頑張ってもらいたい」と後輩たちへ思いを託した。

西川監督「この1点差はの負けは監督の負け」

 序盤の大量リードに油断があったわけではない。本調子ではなかった先発のエース・久保田慎投手(3年)を、野手陣は打撃で守備で必死に援護した。1点差ゲームに西川雄太郎監督(35)は「選手は最後まで諦めないで戦ってくれた。この1点差の負けは監督の負けという部分が大きかった」と責任を背負い込んだ。

チームただ1人の甲子園経験者

 干場主将は21年夏の甲子園でチームただ1人の1年生出場。しかも4番を担った。「中学校の時は無名で、どこにも声のかかる様な選手じゃなかった。1年生から(前監督の)前田先生に出してもらって、人生本当に変わった」。新チーム結成後、秋の全道には出場したが北海に0-7でコールド負け。春は代表決定戦で涙を飲んだ。最後の夏、2年前同様に北大会を勝ち上がってきたが、甲子園には届かなかった。

きつかったけど楽しかった、冬の練習が一番の思い出

 ただ一番の思い出は、1年生でプレーした甲子園でも、試合に勝ったことでも、この日の負けでもない。「やっぱり冬の練習。すごいきつかったのがあるんですけど、楽しいこともあった。きついけどみんなで乗り越えようみたいな。ここで負けてしまったけど、最高の仲間と最後まで野球ができたのですごく楽しかったです」と最後は笑みを浮かべ、3年間濃密な時間を共に過ごした13人の同期に感謝した。

渋谷右翼手「一番信頼していて一番大好きな先輩でした」

 干場主将ら3年生の意志を受け継ぐのはクラーク戦に先発出場した3人の2年生だ。チーム最多の4安打4打点をマークした渋谷右翼手は「(干場主将は)かけがえのない、一番信頼していて一番大好きな先輩でした。その先輩たちの背中をずっと1年生から見て自分たちは学んできた。次は自分たちが今の1年生に背中を見せられるように2年生が頑張っていきたい」。この日の涙は無駄にしない。今度は最上級生として3年生に負けないぐらいのチームを作って再び大舞台に帰ってくる。
 

三回無死満塁、二塁適時打を放ちガッツポーズしながら一塁へ走る帯農の干場

あわせて読みたい