プロスポーツ
2022/09/26 23:25

士別サムライブレイズ大逆転V ブライアント采配で2敗から3連勝

試合後、ブライアント監督を中心に喜びを爆発させる士別ナイン(撮影・西川薫)

■野球独立リーグ・北海道フロンティアリーグ・チャンピオンシップ 最終日(26日、美唄市営)士別4-3石狩

2位から下克上でグランドチャンピオンシップ出場へ

 士別サムライブレイズが4―3で石狩レッドフェニックスを下し、2敗からの逆転3連勝で初代王者に輝いた。今春、急きょ指揮官に就任した元近鉄のラルフ・ブライアント監督(61)の下、個性派集団がシーズンを通して結束。レギュラーシーズン2位から頂点に輝いた。士別は30日に熊本で開幕する日本独立リーグ野球機構(IPBL)主催のグランドチャンピオンシップの出場権を獲得。4チームによるトーナメント初戦で、ヤマエ久野九州アジアリーグ優勝の火の国サラマンダーズと対戦する。

「初代優勝監督になれてうれしい」

 士別が3連勝で下克上を完結させた。現役の国公立大生・藤盛広大朗投手(21)が最後の打者を打ち取ると、マウンドに歓喜のシャワーが降り注いだ。ブライアント監督は「初代優勝監督になれてうれしい。一生懸命に選手がプレーしてくれた」と、満面の笑みを浮かべた。

 結成2年目。当初予定していた外国人監督が、ビザの関係で来日がかなわず、ブライアント監督に白羽の矢が立った。開幕から約3週間後の5月25日に来日。「エラーが多かった」と、チームの第一印象は決して良くなかった。それでも「簡単なプレーでアウトを取れれば、もっといい試合ができる」と、選手に言い続けてきた。

空中分解の危機乗り越えチームが一つに

 今季から主将を務める阿部巧中堅手(26、旭大出)は「すごくうれしい。最後の最後にチームが一つになった」と、胴上げで何度も宙を舞った。「自分は仕事優先。NPBを目指している選手もいたり、考え方の違いから退団した選手もいた」と、一時は空中分解の危機を迎えたが、8月中旬のお盆前後から平日夜に全体練習を開始。その結果、美唄との2位争いを21日の最終戦で制し、その勢いのまま、翌日からのCSで一気に頂点へ駆け上がった。

近鉄時代の指揮官と逆のドラマに

 ブライアント監督といえば、助っ人として活躍した近鉄時代、1989年の日本シリーズで3連勝から4連敗で日本一を逃したいきさつがある。阿部主将は「監督はそのことは言わなかったけど、選手全員知っていた。監督の存在があったから」と、当時と逆のドラマを成し遂げた。

 30日に、グランドチャンピオンシップが開幕する。試合後のベンチ前で、指揮官は「リーグの代表として胸を張って九州へ行こう。3・2・1、チャンピオン」と気勢を上げた。日本最北の独立リーグ球団のかつてない挑戦が始まる。

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