ファイターズ
2022/02/17 14:25

新庄ビッグボス 予告しちゃった「盗塁、五十幡」 長嶋さんほうふつ迷言交代

代走の五十幡がスピードを生かし、二盗に成功

 おきて破りの大胆采配だ。沖縄春季キャンプ中の日本ハムは16日、北谷で中日と練習試合を行い、新庄剛志監督(50)が選手交代で“奇策”を繰り出した。六回に「代走、五十幡」と告げるところで「盗塁、五十幡!」と球審に伝達。走るポーズまで付けて、相手チームに作戦をバラした。五十幡亮汰外野手(23)は警戒されながらも二盗、三盗を成功。してやったりのビッグボスは、シーズン中も同様の一手を行使する考えを明かした。

 言い間違えではない。“確信犯”だった。1点差に迫った六回無死一塁。軽やかな足取りでベンチを出た新庄監督は、喜々とした表情で球審に歩み寄った。両腕を振るようなランニングのしぐさを見せ、一塁走者の交代を伝えた。「盗塁、五十幡!」。中日ベンチも驚く盗塁の事前告知だった。

 当然、バッテリーは警戒レベルを高め、けん制やクイックを徹底してきた。それでも3球目に五十幡はスタートを切り、悠々と二盗。2死後には捕手が送球を諦めるほど完璧にモーションを盗み、三塁を陥れた。

 異例の作戦暴露で球場を沸かせたビッグボスは試合後、ユーモアを交えて五十幡を大絶賛した。「アウトになる気、しないよね。あの左のクイックで…。ピノ、ピノ、マジピノ。足の運びが違うもんね」。ピノは野球ゲーム「ファミスタシリーズ」で人間離れしたスピードを持つ架空の外野手。チート能力を持つゲームキャラを持ち出すほど、魅力的だった。

 監督就任当初から、無安打でも1点を取る攻撃を理想に掲げ、さまざまな手段を模索している。「四球で出て二盗、三盗、ホーム(スチール)。3球で1点取りたいよね。二盗、三盗、犠牲フライや二盗、三盗、内野ゴロでも1点」と指揮官。足のスペシャリストは、これを実現する上で貴重なピースになる。

 かつて、巨人の監督を務めていた長嶋茂雄氏(現巨人終身名誉監督)は送りバントのジェスチャーをしながら「代打・川相」と球審に告げ、打者の行動が丸裸になることがあった。偶発的に起きたミスターならではのほほ笑ましいエピソードだが、新庄監督は意図的に仕組んでいた。

 予告することでプラスの効果があると考えている。シーズン中もこれを採用するつもりで「盗塁・五十幡、面白いでしょ。そうしたら投手も力む力む。で、四球狙いみたいな」と、ちゃめっ気たっぷりに笑った。その頭の中には、豊かな発想で生み出されるアイデアがまだまだ詰まっている。

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