安西叶翔 右肘手術から1年3カ月で実戦復帰 リハビリを支えてくれた「イケさん」ら先輩の存在
六回に3番手で登板した安西=撮影・中田愛沙美
■イースタン・リーグ16回戦 ヤクルト6-3日本ハム(9月27日、鎌ケ谷スタジアム)
長くつらいリハビリを乗り越えて
日本ハムの高卒3年目右腕・安西叶翔投手(20)が大けがを乗り越え、実戦復帰を果たした。
昨年6月27日に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術、共同腱修復術を受け、今季は育成選手として再スタート。「ちょうどきょうで手術から1年3カ月。記念すべき日じゃないですけど、区切りでちょっと気合入れていきました」とマウンドに向かった。
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徐々に上がってきた直球のスピード
公式戦としてはルーキーイヤーの2023年9月以来(9月29日の2軍ヤクルト戦)の登板となった。
「思ったより緊張とかしなかったです。ホームグラウンドなので、投げやすかったですね」と落ち着いていた。1死から安打で走者を出したが、後続を2者連続三振と1回を無失点に抑えた。この日の最速は148キロ。「けがする前はイースタンで(最速1)47。この前のライブ(BP)で46がやっと出て、まさか48も出ると思わなかった」と、はにかんだ。

右肘に衝撃が走ったあの日
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昨年5月、2軍施設の鎌ケ谷でライブBPに登板。ボールを投げた瞬間、右肘に衝撃が走った。
「痛いっていうか感覚がなくなりました。飛んだみたいな。何が起こったか分からなくて、とりあえずもう1球を投げたら、やっぱ痛いなって」。診断結果は、右肘靱帯の断裂。「手術しか選択肢がなかった。プラスに捉えるしかない。ひどく落ち込むことがないようにと思いました」

心の支えとなっているチームメート
昨年6月に手術を受け、長期のリハビリ生活。支えてくれたのは、チームの先輩たちだった。池田もその一人だ。
「イケさんが1軍に行っても、ちょくちょくLINEくれたり、手術する時もそのタイミングで1軍に上がったので、来られなかったけど、(病院にお見舞いに)来てくれる予定で。今年もいろんな話をしたり、最近どうだ?と聞いてくれたりして、本当にありがたいです。話を聞いてくれるだけでも、モヤモヤしたものがなくなる。いろんなアドバイスだったりをくださって助かりました」。10歳上の先輩右腕は、親身になって寄り添ってくれた。
1学年上の先輩たちにも、かわいがられている。いつも使うリュックには、柳川からもらった缶バッチを付ける。「良くしてもらっています。さっき、福島さんからもLINEが来ていました。きょう(投げるの)言っていないんですけど、知ってたんだって。うれしかったですね。『ナイピーっ』て来ました」。1軍に帯同している先発右腕のさりげない気遣いにも感謝した。

新たに始まるサクセスストーリー
リハビリ期間中はウエートトレーニングに励み、体重は4、5キロほど増量。心もすっかりたくましくなった。
「本当に戻るのは2年くらいかかる。まだ、1年3カ月。まだ、こんなもんじゃないってことにしておいてもらって。僕の物語は、ここから始まります」。晴れやかな表情で、そう力強く宣言した。