杉浦稔大 2軍でも日々成長「そうしないと若手に抜かれるだけ」手本は24年連続勝利のレジェンド左腕
2軍ロッテ戦が中止となり、室内で体を動かした杉浦=撮影・近藤裕介
進化を止めないベテラン右腕
成長意欲は若手にも負けない。日本ハムの杉浦稔大投手(33)が1軍再昇格を狙い、2軍で爪を研いでいる。
ベテランと呼ばれる域に差しかかっても、「選手をやっている以上は、もう本当に日々成長、日々進化することが大事だと思う。まずそういう、気持ち的なところを意識しています」と、鎌ケ谷で懸命に汗を流している。
2戦で3被弾し2軍落ち
プロ12年目の今季は開幕1軍に入り、中継ぎとしてチームを支えた。しかし、4月16日のロッテ戦、同22日の楽天戦で計3被弾と乱れ、翌23日に登録を抹消された。
「ボールがめちゃめちゃ悪かったとはあんまり思っていないんですけど、本当に投げどころとか、細かいコントロールとか、そういうところかな」。 悪夢のような出来事が、悔しくなかったはずはない。それでも冷静に原因を分析し、前を向いた。
すべてをプラスに 何事も無駄にはしない
2軍合流後は5試合に登板し、5回を投げて1失点、5奪三振をマーク。「状態を上げることもそうですし、単純に技術を磨く時間は、こういう時しか取れない。この時間を無駄にしないようにという気持ちが一番、強いかなと思います」と研さんに励みながら、アピールを続けている。
2軍戦で登板する杉浦
プロ野球選手のあるべき姿とは
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年の離れた若い選手たちと練習し、大切なことを再認識した。
「やっぱり、基本的にこっち(2軍)には、これからの選手たちが多い。当然、1軍の選手の方が、技術も実力も上だったりはしますけど、それこそ今年でいったら達とか、イーレイ(孫)とかは、ここで積み上げてきたものがちゃんとあるからこそ、上(1軍)に呼ばれた時にちゃんとそれを発揮できる。発揮した時に、ちゃんと通用する。それぞれの選手に段階がある。もちろん、僕は今ここで育成して、という年齢ではないけど、かといって、じゃあ年を取ったから成長しなくていいのかというと、そうじゃない。やっぱりそれだったら、若い世代に抜かれていくだけ。本当に日々成長してかないと、ただ抜かれていくだけ。だから、年は正直あんまり関係なく、やっぱり選手として、ただレベルアップしていくことがシンプルに大事だなって、そういうところはあらためて感じました」と力を込めた。
小さな大投手の背中を追って
年長者の立場になり、思い出すのは今季45歳ですでに2勝を挙げ、NPB史上初の24年連続勝利を達成したヤクルト・石川の姿だ。杉浦がまだヤクルトでプロ入りして間もない頃、同じグラウンドにいた12歳上のレジェンド左腕から大きな刺激を受けた。
「今でもやってますから。すごいですね。僕が新人で入った頃、石川さんはちょうど、今の僕ぐらいの年だったと思うんですよ。そう考えると、そこから12年たって、まだやっているのは本当にすごい」と尊敬してやまない。

若手の手本に 「テキトーなことは当然しない」
若き日に石川から影響を受けたからこそ、今は〝次の世代〟が自分の背中を見ていることを理解している。
「当時の僕から見た石川さんが、今の新人から見た僕ぐらいの年齢差。実績とかは置いておいて、僕からしたらそういう実感はないですけど、やっぱり今の新人から見たらたぶん、そういう感じ方なんだろうなと思うので、だからこそやっぱり、僕がテキトーなことは当然しないですし、そのへんはちゃんと意識しています。石川さんのように、とは言わないですけど、でもやっぱり、そうやって上の人を見て、刺激は絶対に受けるので」
チームに不可欠な百戦錬磨の道産子右腕
もちろん、早期の1軍復帰を目指している。ただ、「チームは好調なので、それがチームとしてはすごいいいことですけど、その反面、単純にチャンスはなくなる」と現実も直視する。
「それは実力の世界なので。チームが勝つのは喜ばしいこと。でも、僕が2軍にいるからといって腐っていたって、誰も得しないので」。帯広出身の道産子右腕は出番に備え、目の前のやるべきことに全力を注ぐ。その姿勢をきっと、若手が目に焼き付けている。